2020-01-13

SFって基本的には思考実験の場なんだよね

面白い設定やらガジェットやら考えたぜカッコイーってのもあるかもしれんけどさ

多くはそうじゃないんだよな

あれは精密な思考実験の場なんだよ

わかりやすい例としてトロッコ問題を挙げてみると

お前らってひねくれてるからすぐ「大声で叫んで気付かせればいい」「横に退避させればいい」とか第三の選択を考え始めるだろ?

それで、左右は切り立った崖であるとか声の届く場所はいないとか色々前提を付け加えるんだけど、

そもそもそんな状況に無理がある」とか言われちゃうわけよ

あの問題の根幹の部分ってのはさ、「1人を犠牲にすることで5人の命を助けることをどう評価するか」っていう限りなく抽象的な課題

いくらかでも現実的舞台に落として考えやすくしてくれているわけだ

SFってのはそれの上位互換みたいなものでさ

舞台宇宙とか未来とか極端なところに移してみたり、はたまた並行世界で好きなように物理法則を作り込んだりすることで

「本当に考えなければならない部分」をちゃんと考えさせるようにできている

トロッコ問題だってSF舞台設定であれば、前提へのツッコミや第三の選択を生じさせることなく「5人か1人」を間違いなく選択せざるを得ないように

作り上げることはいくらでもできるだろう(というか、似たような作品は実際あるしね)

しかも読者は物語の中に感情移入しているせいで、思考放棄すら許さないような状況にさせられている

SFで行う思考実験というのは本当に色々なものがある。人間定義を問うようなものとか、自己存在について疑問を投げかけるもののような深淵テーマから

人間遺伝子組み換え可能だったら」「未来予測が高精度で行える世界における生命保険はどうなるか」みたいなわりと社会接続しているものまで

物語の中でそれぞれの思考実験専用の前提を組み上げ、それを考えざるを得ない物語を描くことで、読者に思考実験への参加を強制している

それがSFというジャンル共通的な特徴であって、宇宙とか未来とか並行世界とかガジェットのものSFという世界を成しているわけではない

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