2019-12-09

原作読者によるアニメ夜明けのブギーポップメモ2(11話)

(前)

https://anond.hatelabo.jp/20191209210158

11話 「夜明けのブギーポップ 2」

STORY|TVアニメ「ブギーポップは笑わない」公式サイト

脚本鈴木智

絵コンテ:中園真登

演出:Park Myung Hwan

作画監督Lee Gwan Woo、Min Hyun Sook、Yuu Seung Hee、Lee Jung Hun

総作画監督筱雅律

全ての始まりはあのときだった。不治の病を患い、入院していた凪の病室で見つけた薬剤の入ったアンプル。

精神科医の来生真紀子は、実験を繰り返し、この薬剤を投与された者が不死身とも言える驚異的な再生能力を得ることを知る。

まるで人類進化ともいえる効果に、患者に投与したらどうなるのだろうと逡巡する来生。

そんな中、テレビからまた連続殺人事件被害者発見されたというニュース流れる

被害者はすでに5名にのぼっており、犯人はいまだ捕まっていないというが……。

原作3話目の「天より他に知る者もなく」に相当。

原作2話の「霧間凪スタイル」はほぼ丸々カット。もしも再現されていれば「VSイマジネーター」編のヒロインである織機綺が再登場したり、アニメ化されなかった『パンドラ』の代わりに羽原健太郎の顔見せになったり(原作刊行順は『パンドラ』→『歪曲王』→『夜明け』)していたはず。

残念ではあるが、「スタイル」は『夜明け』の中で唯一「現在」の霧間凪を描いており、エピソードのメインとなる来生真紀子=フィアグールの事件との関連も比較的薄いため、省略するならここだろうとは思う。

また、原作では間に二巻挟んでいるのでそれほど唐突でもないが、アニメ場合、最速放送では「イマジネーター」最終回の翌日に、別人のように明るくなった織機を見せられることになるわけで、余韻を残すという意味でもカットは正解かもしれない。

アバン

「殺してやる」を連呼しながら、篠北の病室に向かう来生。原作では昼間だが、深夜のシーンになっている。篠北の「恐怖」を味わう部分は後半に移動。

来生真紀子

原作夜明け』では比較的はっきりとイラスト化されているキャラクターだが、引き継いでいる部分はあまりない。「新米医師」にも見えにくいが、これは年齢設定自体が変更されているかもしれない。

カウンセリング(1:56)

患者セリフには、原作の他の患者のものと、典型的被害妄想が追加されている。原作ではモブの一人に過ぎないが、こちらは淡々とした口調が妙に印象に残るキャラクターになっている。

退院後の凪との再会(2:55)

アニメでは分かりにくいし原作を読み返してもはっきりとはしないが、このパートは来生がまだ自分進化薬を投与していない時点、と思われる。あくまで薬の出所の手がかりを得るための接触

凪「親父だったらなんて言うかな」(4:10

来生は一応、霧間誠一の読者。

来生の自宅の実験室(5: 29)

死んだ医学博士父親から受け継いだ、という説明が無いので、原作未読だとなぜ個人宅にこんな設備がと首をかしげるかもしれない。

来生「ラットは不死身とも言える再生能力を〜」(5:52)

原作では再生能力の他に、「行動速が倍加」し「通常のラットの、およそ三倍近い反射神経と判断力」も発揮。ネタかどうかは微妙ラインだが、削って正解だろう。

来生の被害者(6:38)

マンガ登場人物が「頭の大きさほどにまで大口を開けている」ようにしか見えない死体」になっているだろうか。暗くてはっきりしない。

ジョギング中の男性発見するくだりはオリジナル

ニューステロップ(6:47)

「ひのき第2公園」というオリジナルの具体的な名前

また被害者が「都内女子高生」となっており、アニメ原作地方都市とは異なり、明確に東京舞台であることが確定した。

来生の顔(8:25)

このシーンでは後ろ姿や口元のみだった来生の顔が、ここで初めてはっきり映る。表情が自信に満ちたものになっていることが分かり、「蛇の巣を〜」以降は口調も本性を滲ませている。

パスタフォークでかき混ぜる来生(8:38)

「弱点」である蛇の話を持ち出してインターンなぶる場面に、蛇を連想させる料理を重ねている。音もニチャニチャと陰湿さを煽っていて素晴らしい。

来生「蛇ってたしか男性自身を〜」(8:48)

男根」、はマズいのか。

来生「急にベテラン看護師さんを解雇したり」(9:35)

院長の弱みを握って来生が解雇させたというのは原作通りだが、来生が看護師たちからナメられていた、という設定が残っているか微妙なところ。院内での弱い立場に関する鬱屈はなさそう?

篠北の病室に向かう来生(9:50)

セリフは「足りない足りない……」だが、実質的アバンの続きとなるシーン。

原作では章冒頭のこのシーンをここに持ってきたのは、時系列を重視というより、来生の変化・異常性が徐々に高まりここで爆発する構成か。

来生の目のアップ(9:55)

瞳孔が縦長。肉体的にも大きく変化していることの表現

篠北の病室のドアをノック10:00)

原作は「ノックもせずにいきなり入った」だが、絶対的な優位に立ちながら敢えてノックする方が逆にいやらしいかもしれない。

来生「親身になってくれた看護師さん、退職されたそうですね」(10:18)

看護師を辞めさせた動機原作私怨から、篠北を追い詰めるために変更した、ということでいいだろうか。

来生「傷病手当が切れたら〜」(10:47)

保険が切れてしまったら」から変更。細かい

来生「あのお薬、篠北さんに投与したら〜」(10:53)

これを含め「このところ派手にやっちゃって〜」「お薬のおかげ」など興奮と邪悪さが強調されたオリジナル台詞がいくつかあり、声優の熱演もあって、怪人としての来生のキャラが立つシーンになっている。

来生「正気を失ってしまったら〜」(11:48)

「狂ってしまったら」はマズいのか。

ファミレスHoney's」(12:17

末真和子(中学生

元々ファッションにそれほど気を使う方ではないだろうし、中学時代ならなおさらではあるのだが、想像の三割増しぐらい野暮ったくて驚いた。

末真と友人の会話(12:27)

原作で、男にフラれた友人を慰めていた(「安易彼女だけを可哀想だと言うでもなく〜」)と書かれている部分のオリジナル台詞。なんとなくおもしろいので全文メモしておく。

友人「○○○○○(聞き取れない)分かるけど……でも」

末真「だってそういうのはさ、両方に責任があるでしょ」

友人「だって相手大学生だし……」

末真「そんなの関係ないって。だから直接話しに行こう?」

末真「大丈夫から

失恋というより、妊娠か何かの話に聞こえるのは気のせいか

来生の母(12:57)

原作の来生にある、母親への複雑な感情はほぼ省略されている。

カウンセリング2(14:12

前回と同じく、淡々とした語り口の患者原作でこの位置にあったシーンを分割して二度のカウンセリングしたことで、結果的に出番が増えている。印象に残るのはそのせいもあるだろう。

世界危機を語りながらむしろそれを期待している、あるいは本心からは信じていない凡庸人間をここに置くことで、その後のブギーポップが語る「本当の世界危機」を際立たせる、というのが原作構成なので、患者キャラ立ちによりその効果が薄くなっているのが問題といえば問題

原作ではビーチボーイズの「Surf's Up」が流れていることになっているが、さすがに使われてない。

宮下藤花の母親(15:06)

原作ではヒステリックな面ばかり強調されていたので、こう言ってはなんだが思いがけず美人デザイン

宮下藤花(中学生

顔立ちも幼くなっているが、高校生時との声の演じ分けが絶妙

BGM

原作では「クラシックの〝タンホイザー〟」が流れているが、これがそうなのかちょっとからない。媒体は「カセットからさすがにデータパソコン)に変更。

左右から藤花に取りすがる両親の幻(16:01)

藤花の「弱点」。『笑わない』で語られていた(アニメではカット)、両親が離婚しかけている状況の反映。

原作での藤花の「弱点」は、「昔自分を怖い顔で叱った、死んだおじさん」(前話で火葬されていた人物?)だが、絵だけでは分かりにくいだろう。

来生「ま、なんとも言えないわよね」(16:04)

表情と口調に、多少の同情が感じられる。離婚ではないが、自分母子家庭からか。

藤花「え?」(16:19)

「もう一人の人格」を演じてみようという来生の提案に、本気で困惑する声と顔が生っぽい。

首を傾げる藤花(16:41)

かわいい。 

藤花「わ、わかったぜ」(16:47)

かわいい

マイスタージンガー(16:59)

マイスタージンガー

ここからしばらく、藤花・ブギーポップの目が画面から隠され、口元や後ろ姿のみの状態が続く。

ブギーポップ?「男でも女でも〜」(17:04)

まだ完全にブギーポップになりきっておらず、ここから声色が徐々に変化していく。

ブギー「あなたこそが、世界の敵だからだ」(18:13)

ここで初めてブギーの顔が正面から映り、来生を見据える。

来生「それって正常性バイアスの類かしら?」(19:33

オリジナル台詞原作当時には無かった、もしくはあまり知られていなかった概念用語を適度に投入して、現代物語アップデートしようという意図が感じられる。

ブギー「殺す」(20:52)

なんでもないことのような言い切り方が絶妙

来生「死ぬ時はこういう曲に〜」(22:02)

宮下母娘を見送った後に、もう一度マイスタージンガー再生するシーンを追加。原作ではブギー対面時のものであるセリフを、独り言としてここに回している。

世界危機は至る所にあれど〜」という地の文で締められるラノベに対し、アニメキャラセリフの方が収まりがいいと判断したのだろう。ブギーとの約束の曲という意味合いはやや薄れるが。

(次)

https://anond.hatelabo.jp/20191209211700

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