うちの両親は仕事を引退して年金生活者である。父はそこそこの大企業に勤めていたうえに、退職金を分割払いでもらっており、同年代の中では比較的収入が多い方だと思う。
父は趣味も多く、それなりに遊びに行ったり飲みに行ったりして老後を楽しんでいるようだ。が、二人のネックはそれぞれの母親が健在で何だかんだと面倒をみないといけないこと。だいたい週一回施設に面会に行けばいいのであるが、時々外食に連れて行ったり買い物や掃除の手伝いをしなければいけないので心おきなく二人で海外旅行…みたいなのは難しい。
幸い二人とも健康で特に老々介護による問題も発生していないようだ。けど、同年代で亡くなる人や認知症になってしまう人もいるのだからもっと人生を楽しむべきじゃないのかと気になる。
特に母は吝嗇で、父が何か欲しがったり外食をしたがったりするといちいち反対する。私と弟が幼いときに専業主婦で、若き日の父の安月給でやりくりに苦しんだせいなのか、今介護している母方の祖母(母にとっては実母)が国民年金しかもらえず、あまりの金額の少なさに母が金銭的に援助せざるを得ない状況だからなのかは分からない。
そのわりに父が大きな買い物(自動車とか)をするときや一人で長期海外に出かけてしまったりするときは止められない。だいたい父が母に相談せずに決めてしまって事後報告のパターンが多いのでそうなるんだけど、私が見ていて「止めるならそこでしょ!」と思うところに限って流されてしまうので釈然としない。
父は新しもの好きで食い意地が張っている。たとえ使いこなせなくても新型のスマホやタブレットを欲しがり、家の近所に新しい飲食店ができると「あの店に食べに行きたい」と言い続ける。正直私も聞いていて辟易するレベルではあるのだが、二人が老後の生活に困らないのは父のおかげだし、行きたがる飲食店もそんなに極端な高級店ではない。
新しい機械モノを買っても使いこなせずに旧型と同じ使い方しかしないだろうし、行ってみたかったお店で一度食べたら「ふ~ん、こんなもんなんだ」となってもう二度と行かないのは目に見えているんだが、そんなに生活が苦しくないならなるべくやりたいことはやるべきじゃないかと思う。
母ももっとやりたいことを主張してお金を使えばいいのにと思う。身体の自由がきくうちは家事も極力自分でやって余計なお金をかけないという哲学もありだろうけど、少しは自由に時間もお金も使わないと、身体が自分のいうことを効かなくなったときに後悔すると思う。
お前が金を出して両親に旅行や食事をプレゼントしろと言われればごもっともだけど、二人とも私にお金を払わせるのを好まない。一緒に旅行に行くときは自分の旅費は出すけど、両親と食事に行くといつもおごってもらう結果になる。スマートに私が支払いを済ませる方法があるなら教えて欲しいぐらいだ。
私はエゴイストなので両親のことを考えている時間は人生の1割にも満たないけど、いつボケたり身体が不自由になってもおかしくない両親が倒れる日を思うと頭痛がする。自分が後悔しなくてすむようにこんな駄文を書いてみた。長くなってすまん。