2019-12-01

精子採取してきた。

おそらく今日体験を誰かに話すこともないだろうし、帰ってから妻にも事の詳細は話さないだろう。

そうすると、今日出来事は一生自分の内だけに留めておくことになり、それはそれで何だか勿体ない?ような感覚があり、この場をお借りすることにした。

月並みセリフだが、これが誰かの参考になれば幸いだ。


***

当方、年齢は34才。妻は2つ年上で、結婚10年目の子なし。セックスレス歴は5年目くらいになるだろうか。

毎晩一緒に晩酌するくらいには夫婦仲は良いのだが、異性としてのエロスはもう感じない。これは私が、というよりお互いにそうなのだろう。

ただ、子どもは欲しいという気持ちは双方にあり、年齢を考えると作るなら待ったなし、という状況だ。

妻は子宮内膜症という病気を患っており、2年前に一度手術をしている。

片方の卵管が詰まりやすくなっているため、妊娠するとしたらチャンスは2ヶ月に1回と当時の担当医に説明を受けている。

排卵基本的に毎月交互に行われるということを、この時初めて知った)

年齢による妊娠率低下に加え、チャンスは2ヶ月に一回という状況だ。

子作りという目的さえあれば一応セックスレスは解消できるとは思うが、

完全な自然妊娠に任せていては、何事も起こらず来年また1つ歳を重ねている姿が容易に想像できた。

後々になって検査をしたら実は不妊の原因は自分にあった、なんてオチ絶対回避しなくてはならない。

30代後半の時間はあまりにも貴重だからだ。

尚、34年生きてきて自分精子に何かしらの異常を感じたり、親・兄弟遺伝的に心配するような出来事は一切ない。

そもそも、「あれ、量少なくね?」「なんか、水っぽくね?」などデリカシーのないことをいう彼女でも作らない限りは、

自分精子他人比較する機会は訪れないため、基本的自分精子自分基準絶対的に正常なのだ

男性側はそのことを念頭において、自分精子と向き合う必要がある。


***

前置きはこれくらいにして、ここから精子採取の詳細を語っていきたい。

病院に行ってやることはいたってシンプルだ。カップ射精して提出するだけ。

それだけの事と言えばそれだけなのだが、病院オナニーというのはこれまでの人生経験したことがないので、何となくからソワソワしていた。

入ったことはないが、繁華街にある個室ビデオ屋みたいな感じを想像して、内心ちょっとだけ楽しみな気持ちもあった。

クリニックに到着すると、受付には20代半ばくらいの若い女スタッフが2人座っていた。

初診ということを伝えると、その場で今日検査の流れについて簡単説明を受けた。

検査はまずは診察からスタートした。40代前半くらいの男性医師担当だった。

事前にWeb問診票に回答しているので、その場で回答内容をフムフムと読み進める。

問診内容には、自慰の頻度や勃起状態夫婦セックス回数など、かなりプライベート質問も多いのだが、

夫婦関係ほとんどなし、と。なるほどね。」といった感じで、こなれた感じで読み進められていく。

一通り問診票を読み終わると、そこから男性不妊検査説明が始まる。

男性不妊検査には4種類ある、と。

1. 精子の量や運動量を調べる一般的検査

2. クルーガーテスト(正常な精子割合を調べる)

3. SCSA(精子の核をDNAレベルで調べる)

4. 感染症検査

1は保険診療で1,200円程度。

2以降は保険外診療で、2が9,000円、3が11,000円、4が7,500円の全額自費負担だ。

ちなみに2以降もやる場合混合診療となるため、1も全額自己負担となり4,000円となる。

合計すると3万ちょいだ。

一応事前に金額感は調べていて、精液検査保険診療ができるとネットに書いてあり、

1,000〜2,000円程度を想像して来ていたので、突然3万円と言われて驚く。

ただ、色々と考えた結果、全てお願いする事にした。

理由としては、今回の検査目的妊娠に向けて最短の選択肢を選ぶ事だからだ。

まずはライトものから順番に試して行って、上手くいかなかったらより詳細の検査をして、

と丁寧にステップを踏んでいる時間は我々にはないのだ。

また、どうせ精子を採るなら一度に全部詳しく調べてもらった方が単に効率的だと思ったからだ。

4項目全ての検査をお願いする旨を伝えると、診察は終了した。



***

次は、いよいよ採精の説明だ。

看護室という小部屋に呼ばれ、中には20代後半くらいの女性スタッフが一人いた。

そこで、採精のやり方についてレクチャーを受ける。

・採精室に移動し、部屋に入ったら電気をつけて鍵を閉める

・まずは石鹸で手をよく洗い、その後、アルコール消毒をして手をよく乾かす

プラスチック容器(プッチンプリンより一回りくらい小さい)の中に精液をすべて出す

・もし射精時にこぼしてしまったら提出時にスタッフに言う

注意点としてはこれくらいだったのだが、

この女性スタッフは要所要所で説明がたどたどしくなり、

直接的な言い回しを避けるような変な間があった。

「手を洗って消毒をしたら、よく手を乾かしてから、、、、その、、行ってください」

みたいな説明の仕方なので、

正直、ちょっとだけエロかった。

医療従事者として、毅然と「このカップに精液を全量出してください」と説明をされたら何も感じないが、

たどたどしく言うのは、こっちが変な気持ちになるのでやめてほしい。(悪くはなかった)

さて、ひと通りレクチャーが終わり、早速採精室に向かう。

ちなみに、精液検査を行うには大体3〜7日間禁欲する必要があり、

私の場合は7日間禁欲していたので多少なりともムラムラはしていた。

採精室に入ると、1.5畳くらいのスペースに、テレビDVDデッキ

部屋の中央には白いリクライニングチェアーがあり、ティッシュ箱とゴミ箱が置いてあった。

ゴミ箱は足で踏むと蓋が開くタイプのもので、直接手を触れないで済むのは衛生的で良かった。

テレビ台の上には、DVD10枚ほど入ったDVDケースとエロ本が1冊置いてあった。

エロ本は何となく触れたくなかったので完全にスルーし、DVDケースをパラパラとめくった。

ジャンルバランスよく取り揃えており、ラベルを見る限り割と新しい感じがした。

ただその中に、一枚だけ異質なDVD発見した。

真っ白なDVDベルに、黒マッキー手書きでこう書かれていた。

「下と唇で感じあう、濃密ベロキス尽くし」

他がすべて商業DVDであるのに対し、一枚だけ手作り

ことなく漂う、裏モノ感を感じた。

よく分からない期待感を抱き、

このDVDを手に取ってDVDプレーヤに流し込む。

内容は、




いたって普通AVだった。(当然モザイクもあり)


さて、あまり楽しんでいる場合ではない。

というのも、この採精室、一体どれくらいの時間で出るのがベストなのか、という問題がある。

遅すぎた場合、「あの人、どんだけ満喫してんだ・・・ここ、医療機関ですよ」という目で見られるのではないか、という気持ちと、

早すぎた場合、「え、あ、もう終わったんですね。早いですね」と、口には出さねどそう思われるのではないか、という気持ち交錯する。

自分の中で、遅すぎず、早すぎない時間を「15分」と設定し、タイムマネジメントすることにした。

それともう一つ、大きな問題がある。

どちらかというと、こちらの方が重要だ。

この小さなカップに、どうやってこぼさず入れれば良いのだ?

先ほどのレクチャーでは、この辺りの詳しい説明までは受けていない。

カップに全部出してください、としか言われていないのだ。

部屋の中で、使えるアイテムは限られている。

目の前のテレビ台、一台のリクライニングチェアー。

それから、使い道の分からない大きなキッチンペーパーのような紙もあった。

脱出ゲームさながら、この密室で課されたミッションクリアする必要がある。

しかも、制限時間は15分しかない。(自分で決めた)

試行錯誤の結果、最終的に以下の流れとなった。

・リクライニングチェアーの座部に大きなキッチンペーパを敷く(念のため2枚重ね)

・その上に採精カップを置く

ズボンを下ろし、リクライニングチェアーに向かって前傾姿勢となる

・ただ、こうするとテレビに対して背を向ける形になってしまうため、DVDが見れない

・仕方ないので、スマホfc2アダルト再生する

このような形でフィニッシュした。(所用時間12分)






何が正解だったのか、それは今もわからない。


***

無事ミッションクリアし、あとはこれを提出すれば今日検査は終了だ。

部屋の片づけをし、事前に渡された白い紙袋カップを入れて部屋を後にする。

精子の提出先は、採精室から歩いて20メートルくらい先にあるガラス張りの部屋で、

ガラス張りの壁には、カップを置く小窓と中のスタッフと会話するための受話器が備え付けられていた。

ガラス窓の向こう側は無菌室のような真っ白な空間で、スタッフ白衣を着て全員マスクをし、白い帽子かぶっている。

精子冷凍保存するタンクのようなものもあった。

生物実験室のような雰囲気だ。

小窓に自分精子が入った紙袋を置くと、ガラス窓の向こう側にいるスタッフが近づいてきて、それを受け取った。

受話器を手に取り、ガラス越しでアイコンタクトを取りながら会話をする。

確認しますので、そのままお待ちください」

白衣を着た20代半ばくらいの綺麗な女性スタッフが、

自分の目の前で、おもむろに紙袋に手をかける

その瞬間、おいおい、まさかまさか、、

という気持ちになってくる


ガサゴソガサ・・・


カップが日の目を見る。

女性カップを手に取り、顔を近づけて内容物を確認している。

カップを軽く振ったりしながら、観察した様子をPCに打ち込んでいく

自分が数分前に出した精子を、白衣を着た綺麗なお姉さんが繰り返し、何度も確認する

それを、受話器片手に、ガラス越しで眺める自分


こ、これは、一体なんの時間なんだ。



なんとも言えない不思議空間不思議時間不思議な気分に包まれた。

すべて確認を終えたお姉さんがカップを机に置き、

ガラスに近づいてきて受話器を取って話しかけてきた。

「お待たせしました。最後に、お名前フルネームで教えてください」

「ま、増田... 太郎です...」

ありがとうございます。確かに受け取りました」

そう言って受話器を置き、笑顔で見送られた。





***

以上が、本日私が体験したことの全てである

3万円が高いかどうか、それはあなた次第だ。

  • 昔自分で検査できるキットを買ったことがある Amazonで2000円もしなかったと思うけど、精子がちゃんと動いていたから何となく安心した

  • 「え?誰の?」と思ってドキドキしながら開いた俺のこの胸のトキメキをどうしてくれよう

  • こんなこと気にしてる場合じゃなかろう、、、

  • 余裕がないなら結局セックスレスなのは変わらないよ その年齢で子どもが本当に欲しいならIVFは避けられないからね。 ただ、IVFでできた子供の第一世代はまだ30代なので、その子たちが...

  • 個人的には1週間溜めたものより2、3日連続で出した方が色が綺麗だし濃いのが出てる気がするんだが

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