いわゆる「N国」やら「受信料」が話題になるたび,「自分はNHKなんて普段見ないのに」という声をTwitterなどで目にする。そんなことあるか?と僕はいつも思う。ところが,僕が普段接しているコミュニティの中には,NHKをよく見る人ばかりのコミュニティと,民放をよく見る人ばかりのコミュニティがある。「NHKを普段からよく見るか」という問いは,何故かコミュニティによってキッパリ綺麗に回答がまとまる(と僕は感じている)。
「NHKをよく見る」人が多いのは,大学関係のコミュニティだ。僕が通う大学は国内の大学受験で最難関クラスと呼ばれる大学で,都会/地方出身問わず高所得の家庭出身の子弟が多く通う大学でもある。彼らは当然のように何も流すものがなければNHKを点けるし,NHKのドキュメンタリーの話をよくするし,実家でもNHKしか流れない,なんて話もする。
一方で「民放をよく見る」人が多いのは,両親を含む親族や地元の公立中学関係のコミュニティだ。両親は地方出身のブルーカラー,地元の公立中学というのは都会から電車で40分くらいのベッドタウンにある,そこまで豊かではない家庭の子弟が多く通う学校だ。彼らは民放のドラマやバラエティの話をし,民放が映し出されたTVこそがお茶の間の原風景だという。
僕はこの観察から,富裕層とそうでない層との間に存在する経済的・知的な階級格差の一つのあり方が「NHKをよく見るか」なのではないかと思っている。もっと踏み込んで言うと,親から子に受け継がれる所得や学歴,品性や習慣の一つとして,「よく見るTVのチャンネル(特にNHK/民放)」があるのでは,ということだ。
自分の見える範囲だけで推測した思いつきにすぎないんだけど,どうなんすかね。
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僕はというと,フ○テレビを筆頭とした民放を好む両親とは違って,NHKをよく見る方だ。特にNHKの特集番組は情報収集とそのまとめが素直に上手くて,知的好奇心を満足させてくれるから好きだ。反対に民放に溢れているような,他人を虚仮にして取る笑いとか日本スゴーイとか芸能人の惚れた腫れたとか可愛い動物動画とか少しも楽しめたことがないし,作る方も見る方も品性を疑ってしまう。こういう消極的な理由で,とりあえずTVを点けておきたいときはNHKにするというのもある。
ということで,裕福ではないけどNHKをよく見る人,裕福だけど民放をよく見る人,というのももちろん存在すると思うけど,あくまで指標として……という話です。