2019-08-30

「付き合ってるの?」待ちを経験した


社員寮で、彼女は隣の部屋だった。

いつも朝が遅いわたしは、9時に家を出た。

彼女の出勤時間は、いつも8時半だった。

自室の鍵を閉めて、エレベーター待ちをしていたら、

誰もいないはずの隣の部屋からガチャリ、鍵が開く音がした。

彼女かな、と思い、隣の部屋を見た。

大阪にいるはずの、同期の男が出てきた。

「…」

「…見られたくなかったなあ」

おはようを言うのが遅れたら、そんなことを言われた。

こっちだって、見たくなかったけどなあ。

慣れない彼女の部屋に鍵を閉めるのに手間取っている彼をおいて、エレベーターに乗った。

お昼、彼女ランチに誘われた。

うわ、これ、絶対にめんどくさいやつ。

そう思ったけど断るのもおかしいから、いつものように同期4人でランチへ行った。

他の二人が食券を迷っている中、彼女は私の腕を引っ張って聞いた。

「ねえ、朝、見たんでしょ…?」

「あー…うん。」

「…。」

見てないのは嘘だし、すでに彼から聞いていたことは明らかだった。

しか彼女は、その後、言葉を続けない。

このまま無視して、他の2人に混ざってもいいが、それはきっと違うんだろうなあ。

あぁ、もう。

「付き合ってるの?」

これが所謂、"付き合ってるの?"待ちであろう。

今までは、みんな自分から報告してきたので人生初だ。

彼女は、いまだに食券を迷っている2人をちらりと覗き、髪の毛をいじった。

「うん…。」

あれ、終わり?

その後に、何か言葉が続くと思っていた私は手持ち無沙汰になった。

もしかして質問を続けないと話が終わらないパターンか?

「いつから?」

「3ヶ月前…。」

「へ~。」

もう限界だ。

彼女たちの色恋沙汰に興味はないし、何より隠したいのか言いたいのかどっちなのか分からなかった。

隠したいと思ったから、自分から言及しなかったのに。

終電がなくなっちゃって、とかなんとか言ってごまかせばいいのに。

2ヶ月前も1週間前も飽きずに口にしてた「彼氏ほしいなあ」が嘘だったって言えばいいのに。

そんなことを言って関係性を壊すのも面倒だったので、食券を持って席に戻った。

その後も、時々彼女から視線を感じたけど、全て無視した。

話したら彼とのことをもっと知ってしまうことになるかもしれないし、秘密の共有なんて荷が重い。

でも、さすがにさっきのは素っ気無い態度だったかな。

今日も彼は、隣の部屋に帰ってくるのだろうか。

明日鉢合わせないように、階段で降りよう。

からハイヒールは履かないほうがいいな。

そんな計画を立てながらも、あのときもっといい受け答えができたのかな、と思う。

休憩中、泣きながらこの文章を書いた。

駄文だけど許してほしい。

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