2019-08-10

名探偵コナン赤井秀一に関する考察

名探偵コナン』85巻にこんな台詞がある。

赤井秀一「目先のことに囚われて…狩るべき相手を見誤らないで頂きたい」


 この台詞について考察をした。自分なりの考えを書く前に、軽く人物について整理しておく。

江戸川コナン:みなさんご存じ主人公。本当は17歳高校生探偵だが、「黒の組織」が開発した毒薬を飲んで小学1年生まで縮んでしまった。

工藤優作:コナン(新一)の父。作家。ICPOにつてがある。

工藤有希子:コナン(新一)の母。元女優変装術が得意。ベルモット(後述)の親友

コナン界での)FBIベルモットを追い来日日本では違法捜査である。(→注1)

赤井秀一:スナイパー。組織に追い詰められ殺されたことになっているが、現在は沖矢昴として工藤邸に潜伏中。

ジョディスターリング赤井元カノベルモット(後述)と因縁があり、憎んでいる。

アンドレキャメルドライビングテクニックに優れている。

ジェイムズ・ブラック来日メンバーのチームリーダー

黒の組織

ベルモット:表の顔はハリウッド女優バーボン秘密を握られている。ジョディの両親を手に掛けた。

OC

安室透(バーボン):本名・降谷零。公安警察庁から送り込まれスパイスコッチ(後述)の死をきっかけに赤井秀一を憎んでいる。公安では多数の部下を率いる立場で、上司もいる。(→注2)組織では「探り屋」として活動中。

スコッチ本名・諸伏景光公安警視庁から送り込まれスパイ組織スパイだということが露見し、家族や同僚の事を守るため、胸ポケットに入れたスマートフォンごと心臓を打ち抜き自決する。安室の同僚で幼馴染みで親友

水無怜奈(キール):本名・本堂瑛海。CAIから送り込まれスパイ。弟・瑛祐の保護を条件に、FBI情報を渡す約束をしている。(→注3)

(注1)

 FBIベルモットの身柄を確保するまで日本警察捜査のことを伏せる方針でいる。つまり日本での捜査に関して許可をとっていないことが判明している。

 だが、高木刑事のこの台詞「困りますジョディさん…いくらFBI捜査官だといっても、ここは日本しかあなたは休暇を使って来日してるだけでしょ?」(81巻)から現実世界と同様に、許可のないFBI捜査日本で認められていないことが分かる。後に、赤井は「日本警察組織存在をつかみ、捜査を開始している」ことを認識していた事実が明らかになったが、それをチームメンバーには報告していない。

(注2)

 85巻(緋色シリーズ)で工藤邸の前に集まっていたいかつい男達は部下。その後の安室台詞撤収してください…上には僕の方からしますので…」から赤井秀一およびFBI捕獲作戦公安の上から許可下り作戦だったことが分かる。

 赤井秀一公安のこの作戦を「俺の身柄を奴らに引き渡し、大手柄をあげて組織の中心に食い込む算段だった」と言っているが、「黒の組織」に赤井秀一を売るために「公安の仲間」を連れてくる行為矛盾している。

 更に、赤井秀一を始末した(ことになっている)水無は、始末前と代わらず監視が厳しくメール1本送ることすら困難な状況にいることが窺えるので、例え安室赤井組織に売っても「大手柄」になることはあり得ず、赤井のこの推測は成り立たない。

 「組織の中心に食い込む算段」に関しても、安室現在ラム組織のNo,2)から直接指令メールをもらうほどの立場にいるので、わざわざこのような危険を冒す必要がない。(95巻)

 なお、「赤井およびFBI捕獲作戦に関する推測」に安室からのアンサーはないので、赤井の推測を事実として扱うことには疑問が残る。

(注3)

 96巻現在、瑛祐が証人保護プログラムを断って以降FBIが彼を保護・護衛している描写はないので、水無から一方的情報を貰っているというアンバランスな構図になっている。

赤井秀一の主張

 赤井秀一の「目先のことに囚われて…狩るべき相手を見誤らないで頂きたい」という主張について整理していく。

 狩るべき相手を見誤らないで頂きたい…ここでの赤井は、「(安室が)狩るべき相手を見誤っている」と認識している。

 赤井は、「(緋色シリーズにおいて)安室が狩ろうとしている相手」を、来葉峠で公安カーチェイスを繰り広げている「赤井及び来日中のFBIメンバー」のことだと言っている。

 以上を整理するとこうなる。

赤井秀一「(安室は)FBIを狩ろうとしているが、それは間違いだ」

 つまり、「(安室が)狩るべき相手FBIではない。」→「(安室が)狩るべき相手別にいるはずだ」

 更に、現在安室が潜入捜査であることを踏まえると、赤井は「(安室の)狩るべき相手黒の組織だ」と伝えたいのだと推測できる。

 つまり赤井秀一の主張は、「安室の狩るべき相手FBIではなく黒の組織だ。」になる。

安室透の「狩るべき相手」とは

 上で、「(赤井秀一の考える)安室透の狩るべき相手」について触れたが、ここからは「(安室から見た)安室透の狩るべき相手」について整理していく。

 人物紹介に書いた通り、安室透は公安であるコナン界で公安は以下のように認識されている。

江戸川コナンゼロっていうのは「存在しない組織であれ」と付けられたコードネーム日本安全と秩序を維持する為に存在する…公安警察俗称…」(84巻)

 では、「日本安全と秩序を維持する為に存在」している公安警察安室の「狩るべき相手」は誰なのか。

 先程のコナン台詞を裏返せば、安室の敵は「日本安全と秩序」に害をなすものだと考えられる。赤井の言う通り、安室の潜入先「黒の組織」も、敵であることに間違いはない。

 つまり「(安室から見た)安室透の狩るべき相手」は「日本安全と秩序を脅かす人物組織である

考察

 上の2点を整理した上で、「狩るべき相手を見誤らないで頂きたい」について考察していく。

 (注1)で述べた通り、赤井たちFBI日本捜査する許可を得ていない。だが、FBIの面々は、緋色シリーズを見るだけでも

拳銃の所持・発砲(来葉峠カーチェイス)、道路交通法違反(同場面)、公務執行妨害(同場面)、遺体損壊遺体すり替えトリック)、観光ビザ来日しながら違法捜査を行っている

など、かなりの違法行為をしている。特に拳銃の所持・発砲は「日本安全」を、違法捜査は「日本の秩序」を脅かしていると言っても良い。

 まさに、来日中のFBIメンバーは「日本安全と秩序を脅かす人物組織である

 つまり安室は狩るべき相手を見誤ってなどいなかったのだ。

 当然、安室透の狩るべき相手に「黒の組織」が含まれていることに間違いはないが、彼は公安である。「狩るべき相手」は、全ての「日本安全と秩序を脅かす人物組織」なのであって、黒の組織だけを捕まえればその使命を全うしたことになるわけではない。

もし、現実

テロリストを捕まえるのに必死で、他の事件犯人は逃がしてしまいました。」

という発表があったとして、果たして警察のその言い分は通用するのだろうか?…通用するわけがないと言い切ることが出来る。

もし、現実

通り魔「俺じゃなくてテロリストを捕まえろよ!」

警察「それもそうだな、じゃあ君釈放ね」

なんてことがあったとしたら、おかしいと思わないか

 ストーカー詐欺集団泥棒、どれか1つを追いかけている間は、他の犯人達を放っておくのが正解なのか?違うだろう。

 公安にとって黒の組織は「解決すべき事件容疑者集団A」、違法捜査中のFBIは「解決すべき事件容疑者集団B」、その程度の違いであり、まさに違法捜査真っ最中赤井に「狩るべき相手を見誤」っていると言われる筋合いはない。

おまけ

 本当に赤井秀一組織を壊滅させることを目的としているならば、脅しや既に破綻している約束で現役スパイキールバーボン負担を掛けるのは悪手だと言わざるを得ない。そもそも本来「脅し(をすること)」や「破綻している約束(を一方的に守らせる)」といった方法は、相手を陥れたいときに使うものだ。

 赤井本人にその意識はないようだが、状況だけ見れば、キールバーボン両名は赤井の「自らの手で組織を狩り尽くしたい」という非常に個人的な「狩り」に巻き込まれているとも言えるだろう。

 真に「狩るべき相手を見誤」っているのは赤井秀一なのではないか。そうここに結論づける。

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