2019-07-27

死刑廃止論への疑問

「【京アニ放火殺人凶悪事件が起こると死刑廃止論者は困る?」

http://vergil.hateblo.jp/entry/2019/07/26/191304

自分は必ずしも死刑存置派ではない。現行の死刑制度を必ずしも支持する立場ではない。だがそれでも、この人の議論にはさまざまな穴があるように見える。

犯罪社会が生み出すもので、凶悪犯を処刑して社会から排除しても、そのような犯罪を生み出した社会の歪みを正さないかぎり、また同じような犯罪が繰り返される。死刑は、犯罪の原因を除去できたかのような幻想を与えるものしかない。

凶悪犯を処刑して社会から排除すること」と「そのような犯罪を生み出した社会の歪みを正すこと」は両立する。死刑執行を見て「ああ、これで犯罪の原因を除去できたぞ」と喜ぶ人もいるのかもしれないが、自分個人は見たことがない。

死刑といえども人を殺すことに違いはなく、凶悪犯も含めいかなる人間生来持っている基本的人権生存権)への侵害である

他者権利を侵した者が同じことをされるのは仕方がない。懲役刑禁錮刑も基本的人権自由権)の侵害だが、まさかこの人は懲役刑禁錮刑にも反対するわけではないだろう。

死刑は、生涯をかけて自らの罪を悔い、謝罪し続けるべきその時間を、加害者から永遠に奪ってしまう。

絶対謝罪しない死刑囚もいる。宅間守植松聖など。仮に謝罪してもらっても殺人の罪とは全く釣り合わないから、謝罪させることには根本的に意味がない。

神ならぬ人間裁判を行う限り、誤審の発生は避けられない。冤罪被告人死刑にしてしまったら、その過ちは取り返しがつかない。

絶対冤罪ではないと断言できる事件も多い。むしろ、その方が多い。また、誤審で取り返しのつかない結果が生じるのは終身刑でも同じこと。取り返しがつくのは罰金刑ぐらいである。誤審に対して判事検事警官などに個人責任をとらせる方法については制度改革必要であり、また別途考えなければならない。

死刑は、それを執行する人間必要とする。刑務官は、凶悪犯といっても個人的には何の恨みもない無抵抗相手を殺すという辛い行為を、職務として行わなければならなくなる。

ロボットやらせればよい。ロボット作動ボタンを押す役目は被害者の遺族に任せることにすればよい。遺族が望むなら執行の無期延期もありだろう。

凶悪犯ほど死を恐れないので死刑には抑止効果がないという問題もある。それどころか、死刑になりたくて人を殺した者さえいたではないか土浦連続殺傷事件など)。

殺し方の残虐さに応じた方法処刑すればよい。薬殺犯には薬殺刑。斬首犯には斬首刑。焼殺犯には焼殺刑。その他もろもろ。

犯人一人の命で、どうやって34人もの尊い命を償えるというのか。

34回に分けて執行するという方法がある。寸止め33回繰り返し、34回目で絶命させる。永山基準では3人殺害死刑相当だから、34を3で割り、寸止め11回でもいいかも。

そもそも

日本国憲法第三十六条

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

この規定にも疑問がある。拷問はともかく、残虐な犯罪に対して残虐な刑罰はあって当然ではないか死刑囚の中には筧千佐子のような薬殺犯もいれば池田容之のような斬首犯もいる。本当に同じ絞首刑でいいのか。

  • 犯人一人の命で、どうやって34人もの尊い命を償えるというのか。 34回に分けて執行するという方法がある。寸止めを33回繰り返し、34回目で絶命させる。 これを読んで、戦前の拷問の...

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