一度元気が出れば、もともと小さい方ではなかった。
それが大きくて入らなくて、付き合った女の子とは突き合えなかったことの方が多かった。杭打作業にも似た俺のピストン運動は、その巨大質量によって生み出される運動エネルギーを持ってして破壊的な痛みを発生させていた。
そんな風に生きてきた。
剛直を突き立てること叶わず、慟哭する遣る瀬無さをボディメイクに当て始めたのは1月頃からだ。それなりに普通に筋トレしながらサプリメントを飲む。プロテイン、HMB、BCAA、マルチビタミンミネラル(ライフフォースってとこの)、CLA、ファットバーナー、その他色々だ。
スーツのサイズがキツくなってきたことに笑みを隠せなくなってきた頃、いつも使ってるSKYNのLサイズが小さくて入らなくなったことに気がついたのだ。
絶望である。震える手をXLサイズと書いてあるコンドームに伸ばしたドン・キホーテは深夜26時。
屹立するマスキュリンの塔には丁度誂えたかのようなサイズのベールが掛けられたが、しかしそれが本来の役体を成すことはついぞなかった。