2019-06-26

Mastodonから知る分散SNS本質

インターネット日常的に利用する諸氏はMastodonというマイクロブログサービスを知っているだろう。

ある程度のIT知識を持った者ならば自身マイクロブログサービスを始められるオープンソースソフトウェアだ。

2017年当時学生だったハンドルネームnullkalがmstdn.jpというドメインを取得しMastodonサーバーを開設したことによって日本で注目を浴びた。

これらは一部の真実表現している。

しかし、本質ではない。一部の真実表現しているので誤りでは決してないが、本質かと言われれば決してそうではないと返せる。

Mastodon(と分散SNS)という言葉存在を知る多くの人々が本質理解できていなかったため「劣化Twitter」などと評価せざる得なかった。

そして、不幸なことにMastodon話題となった当初、それを報じるインターネットメディアもまたMastodon本質理解できていなかったので、Mastodonに関する記事を読んだ多くの人々の評価Mastodonアカウントを作らずとも「劣化Twitter」として固定されてしまった。

私の友人はMastodonを指してこう言った。

Mastodonって不人気だけど何故かプログラマーな人が多いよね」

おかしな話だ。コンピュータインターネット技術に詳しく専門分野に関しての審美眼には信頼のあるプログラマーが何故か不人気なものクールさを見出していると言うのだから

そこでこのエントリでは、日本情報も多いMastodonを例にして分散SNS本質解説しつつ、何故プログラマー分散SNSクールさを見出しているのかを語っていこうと思う。

本質はActivityPubの中へ潜んでいる

2007年インターネット上に「OpenMicroBlogging」と呼ばれる通信プロトコルが登場した。

OpenMicroBloggingは分散SNSで使われることを想定した通信プロトコルで、OpenMicroBlogging実装SNSとして「Identi.ca」が開設される。

Facebook2004年設立Twitter2006年設立であり、Facebook設立からわずか3年後、Twitter設立からわずか1年後に分散SNSが登場したことになる。

オープンSNSでよく語られるのは「中央集権SNSへのアンチテーゼ」だ。

これらの表現は悪いわけでない、悪いわけでないが分散SNS理解へ誤解を生む。

誤解を生む理由は「わかりやすい」のだ。「自身サービス内で強権を奮うFacebook運営Twitter運営へNOを突きつけよう!」「我々の手にオープンSNSを!」といういかにもな正義は非常にわかやすい。

からこそ一部でこの表現が支持されてしまい声たかかに叫ばれ、多くの人々の分散SNS本質的な理解を妨げた。

インターネットを長らく観測してきたお歴々はご存知だろうが、そもそもユーザー自身管理者となり自分自身ルール運用できるオープンSNS分散SNS登場以前から存在している」のだ。

日本国内であればmixiクローンSNSとして「OpenPNE」などがFLOSSコミュニティでは非常に有名だ。

では、これまでのオープンSNS分散SNSは何が違うのか?

分散SNS大前提として通信プロトコルありきで開発されている点が違うのだ。

思い出して欲しい。Identi.caの前にOpenMicroBloggingが作られていることを。

後に整理されてIdenti.caは「GNU Social」と、OpenMicroBloggingは「OStatus」と呼ばれるようになるが、Mastodonもまた通信プロトコルありきで開発されており、MastodonがありきとしたのがそのOStatusなのだ

OStatusのベースであるOpenMicroBloggingは設計が古いため、現在ではOStatusの事実上の後継であるモダン設計のActivityPubへ差し替えられるという大きな変化はあったが基本は変わらず、MastodonはActivityPubありきで開発されている。

分散SNSとは何なのか?

多くの人々はSNSと言えばTwitterFacebookInstagramなどを想像してしまい、分散SNSと言われるとMastodonGNU Socialを連想してしまう。

はっきりと言おう、この認識自体根本的に最初の誤解であるのだ。

分散SNS通信プロトコルありきで開発されており、ActivityPubなどの通信プロトコルによってSNSサーバー同士が相互接続形成されている。

このネットワークのもの分散SNSだ。Mastodon分散SNS形成するSNSサーバーしかない。

すなわちMastodon分散SNS方式SNS分散SNSSNSなどと表現したほうがより正確な意味を持たせられるのだ。

ただこれは情報技術に詳しいはずの技術者でさえ誤解しやすい部分であり、よりわかりやす説明するためにActivityPubなどで形成されるネットワークのことを「Fediverse Network」と表現することが多くなっている。

まりMastodon分散SNS」「Fediverse Network分散SNS」という図式が成り立つ。

Mastodonはやろうと思えばFediverse Network接続しないこともできるということを理解しておかなければならない。

分散SNS本質

分散SNSとは何か?

ActivityPubなどの通信プロトコルによってSNSサーバー同士が相互接続することにより形成されるネットワーク(= Fediverse Network)そのもの分散SNSであると言った。

では分散SNS本質とは何か?

それを知るためにはFediverse Network特性を知らなければならない。

Fediverse Network形成するActivityPubを現在は様々なSNSサポートしている。

代表例を挙げればマイクロブログサービス型の「Mastodon」「GNU Social」「Pleroma」「Misskey」「microblog.pub」、Facebookのような名鑑名簿型の「Friendica」「Hubzilla」、写真投稿型の「PixelFed」、動画投稿型の「PeerTube」、電子掲示板型の「Prismo」などがActivityPubをサポートしている。

ここで疑問を投げかけてみよう。

もし、何らかの理由Mastodonの開発が停止し、この世から完全にMastodonサーバー消滅した場合、Fediverse Networkはどうなるか?

答えは簡単だ「Fediverse Networkは維持されたまま」である

単にこの世からMastodonが消え失せるだけであってActivityPubが形成するFediverse Network対応しているのはGNU SocialやFriendicaなど他にも多数あるのだ。

Mastodonが使えないのであればGNU Socialを使えば良いというような形式ネットワークインターネット老人会のお歴々はよくご存知で、おそらくこう表現するのではないか

「まるでE-Mail Networkだ」

GMailが使えないのであればYahoo!Mailを使えば良い。それと全く同じだ。

うつまり分散SNS本質それは「SNS形態を取った次世代E-Mail」なのである

分散SNS本質SNS形態を取った次世代E-Mailであるからこそ「Twitter代替」や「中央集権SNSへのアンチテーゼ」などという言説は分散SNS本質表現できているとは言えないのだ

TwitterE-Mail Networkのような特性を持っておらず、E-Mail NetWorkそもそも分散されている(E-Mail NetWorkはそのように設計されたから)。

ましてや、そもそもシステム根本から違うので「劣化Twitter」という言説もまた分散SNS本質などではない。分散SNSTwitterクローンですらないのだから

分散SNS本質SNS形態を取った次世代E-Mailであるからこそ、そのアカウント数はE-Mailと同様にゆっくりと増え続ける。

過去日本ではユーザーが望む望まない、ユーザーが使う使わないへ関係なくDoCoMo携帯電話iモードへ加入するだけでE-Mailアカウントが付いてきた。

分散SNSアカウントはそのようにして増える。今後登場するであろう人気WebサービスがActivityPubをサポートしているとユーザー意識せずともFediverse Networkアクセスできてしまうのだ。

分散SNS本質SNS形態を取った次世代E-Mailであるからこそ、プログラマーたちにとってクールなのだ

現在GMailアカウントがどのように使われているか?を少し考えるだけで、SNS形態を取った次世代E-Mailである分散SNSがどれだけ刺激的で新しいインスピレーションを生み出してくれるかが理解できるだろう。

これが分散SNSだ。

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