小学校以来縁のなかった「軽度肥満」「要経過観察」という単語が重くのしかかる。
大学では研究室に篭りきりでろくに運動しなかったこと、会社に入社してからもデスクワークが主となり身体を動かさなかったこと。
その割に甘味や揚げ物を食べる量は減らなかったのだから無理もない。
帰ってきた診断書には、軽い運動をすると良いでしょうと但書が書かれていた。
それで、とりあえずランニングを始めることにした。
最初は近所を走っていたが、同じところをぐるぐる回るのはどうにも景色が変わらずに飽きてしまう。
そこで、試しに近所のJRを一駅間走ってみることにした。
近い方の駅で、片道3キロ。感覚を掴むために、とりあえず電車で隣駅まで行き、そこから走って帰る算段だ。
最初はルートを確立できず、また距離が予想以上に長かったこともあり、帰ってくる頃には息も絶え絶えであり。
ただ、ある程度走っていれば段々慣れてくるようで。
一ヶ月ほど経てば、問題なく完走できるようになった。
休日の調子の良い時には、途中休憩を挟みつつ往復で走れるようにもなってきた。
またこのコースに物足りなくなった。逆側の駅に照準を定める。片道5キロ。
それも物足りなくなって、二駅分に挑戦してみる。片道7キロ、起伏あり。
新しいランニングシューズを買う。ストレッチをする時間が増えた。
キロ5分で恒常的に走れるようになった。
最近は平日に二駅分往復(15キロ)、休日は25〜30キロくらいランニングしないと気が済まない身体になっている。
なんというか、走らないと気持ち悪い。そんな風に思うようになってしまったのだ。
自分でも気持ち悪いけれど、義務感のような、それでいて心地よい妙な感覚に乗っ取られている感じがする。
一駅ランニングってこんな深い沼だったのか?