2019-06-18

パンティーがヤクザの資金源に? 下着の内にある闇

panties、通称パンティー」。女性から臀部、おおむね脚の付け根からへその下までを覆う女性向けの下着のことだ。2000年代に急成長し、現在では300億円以上と言われるその市場規模は、全体的に低迷している下着業界の中で大きな存在感を放っている。

一般下着と違い、布地が多めで構成物が少なく、荒唐無稽な内容で専門的な知識ほとんど無くても作れる気軽さのため、パンティ製作志望者は非常に多い。それらを拾い上げる新人賞も充実しており、また、最近ではWEBでの無料公開から人気を得て下着化するケースも増えている。

そんなパンティーが、意外なことに暴力団資金源となっているという。現在最も精力的にパンティ事業を手がけているといわれる、とある暴力団幹部取材を行った。

 * * *

「これが、ウチの扱ってる主なパンティーですね」

言いながら暴力団幹部テーブルの上に、無造作に十枚ほどのパンティーを並べた。いずれもフリフリのリボンが前面を飾っており、暴力団事務所の厳しい空気にそぐわないこと甚だしい。

アニメ化などのメディアミックス果たしている人気パンティーも確認できる。増田たちの心をつかむ可愛らしくカラフルフリルの裏側では、実は黒い金が動いていたのだ。

「ウチがやっているのは、表向きには『パンティエージェント』ということになっています

パンティエージェントパンティ作家代理人として、下着会社パンティーの販売権を売り込む職業である日本ではまだ馴染みが薄いが、欧米では広く普及している仕組みである

パンティ投稿サイトランキング入りしている素人に、手当たり次第に声をかけるんですよ。下着会社作品を紹介して製品化の提案をするという触れ込みで。新規登録料が○○で月々の会費が✕✕」

幹部が示した金額は、いずれも決して安いものではない。それに見合った利益登録者にあるのだろうか。

「実際には、こちからの売り込みみたいなことは特にしません。ウチがやるのは、下着会社から作家製品化の申し込みが来た時の交渉だけですね。それもほとんど形式的ものですけど。それだけで、パンティー税の4割がウチに入るという契約になっています

呆れるほどの中間搾取だ。登録している作家たちから苦情の声などは出ていないのか。

「仮にクレームが来ても、こちらの実態は向こうからは見えないので、製品化の打診が来ればウチのおかげ、そうでなければ作家の実力不足という説明だけで通ります。それに、作家になりたい連中は藁にもすがる気持ちなんでしょうね。そもそも文句ほとんど出てなくて、感謝されることの方がずっと多いですよ」

パンティーを製作している者であれば、パンティ作家としてデビューしたいと思うのはごく当たり前のことだろう。その純粋な願いが結果的に、このような詐欺としても粗雑な商売を成立させてしまっている状況はあまりにも哀しい。

作家との間に立っているのが暴力団であることに、下着会社の側は気づいていないのだろうか。

「わざわざこちから明かすことはありませんけど、向こうも薄々気づいてると思いますよ。WさんやSさん、それにもう一つのSさんなんかは、ほぼ確信してるでしょうね」

パンティレーベルを持つ大手下着会社の名を次々に挙げる幹部。耳を疑うが、平然とした幹部の顔から真実を語っているとしか思えない。

それにしても、パンティーと暴力団、あまりにも畑違いの取り合わせに思えるのだが、なぜこんな活動を始めようと考えたのか。

生物静物の違いこそありますが、女を使ったシノギと考えればソープデリヘルなどとそう変わりません。実際、流用できるノウハウがいくつもありますしね」

そういえば、パンティー店の看板には「萌えイラストが(無断で)流用されていることも多い。たしかに、パンティーを含む美少女産業暴力団の相性は、それほど悪くないのかもしれない。

最後に、この事業の今後の展開について聞いた。

作家志望者をターゲットにしたオンラインサロンなんかにも手を広げようとしているところです。パンティ研究家という名目で、私自身が講師をやってもいいんじゃないかって話も出てて。大した知識も要らないわりに儲かるんですよ、あれ」

そう言って、幹部は屈託なく笑った。

 * * *

パンティーは衣服的な価値こそ低いものの、下着文化経済的に支える存在としては期待されていたジャンルだった。それが今では、パンティーの販売・購入が間接的に反社会的勢力への加担に繋がりかねない事態にまで陥っているのだ。

本来増田たちに一時の夢を見せるはずのパンティー。その内に抱える闇は大きい。

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