2019-06-11

タイムラインが闇堕ちする仕組み」に欠けている視点

タイムラインが闇堕ちする仕組み

https://note.mu/fladdict/n/n2984690f10a0

深津さんのこのエントリ、非常によくまとめられていてわかりやすく、個人的にも高く評価したいのだけれど、インターネットと共に育ってきた身(現在30代)としては欠けてる視点があるなと気付く。

先ず1つ目の欠けてる視点として例えば「2ちゃんねるではディスコミュニケーションを前提とする掲示板もしくはスレッドしかディスコミュニケーションほとんど発生していなかった」という点。

この「ほとんど」という部分が重要で、人間がいっぱい居れば口論が発生してしまうことは往々にしてあるので「絶対に発生しなかったわけじゃない」のは当たり前の話。

ディスコミュニケーションを前提とした掲示板って今でも一部で悪名の高い『生き物嫌い板』とかだよね(※動物愛護者はググらない方が精神衛生上良い。これは本当に心から善意博愛精神を持って全力強力に要請したい。ググるな知るな見るな)。

そして更に欠けている視点と言えば、これたぶん現在40代以上にはまったく知らないか、もしくは知っていても下らなすぎて一切関わりを持とうとせず内容を知らないユーザが多いと思うんだ。

それが何かと言えば「過去インターネットには『喧嘩板』と呼ばれるディスコミュニケーションを前提としたディスコミュニティ存在した」って点。

この喧嘩板はlivedoorしたらば掲示板へ各々のコミュニティ所属するユーザが好き勝手に設置していったもの2ちゃんねるには存在しなかった。

その喧嘩板の黎明期は各コミュニティ口論が発生した際にそのコミュニティ雰囲気破壊しすぎないようにユーザが各々に自浄作用として「オイちょっと体育館裏に来いやクソボケ!」的に設置するものだった。

まあつまり端的に言えば「口論をするため2ちゃんねるの外に設置された掲示板」ってわけだ。

しかし次第にその当初の目的は薄れていって(ストレス解消のためか)本当にどうでも良い理由口論することが目的2ちゃんねるの外の掲示板になっていったんだ。

悪ノリが過ぎる2ちゃんねる運営ですらここまでストレート口論するためだけが目的掲示板は設置していなくて、そのためか深津さんは「コミュニティ自浄のためのコミュニティ設立」「ディスコミュニケーションをするためのディスコミュニティ」を認識できていないんだよね。

こういうコミュニティ面白いところは現在のみんなは理解できるだろうけど「現在喧嘩板は廃れている」ということだね。

現在2ちゃんねるユーザ数が減っているとはいえ、完全にコミュニティ崩壊したのか?といえばそうではないとみんなは知っているはず。

少なくとも一定需要があった喧嘩板が廃れ、2ちゃんねるコミュニティが存続しているという事実は深津さんのエントリでは説明が付かない。

2ちゃんねるが存続している理由、これはおそらくきっと「喧嘩板は口論のたびに設置されることが多く、設置目的からして喧嘩板の寿命は非常に短かった」というのが関係していると思われる。

喧嘩板は2ちゃんねるコミュニティ崩壊しないよう、まるでアポトーシスのように2ちゃんねるの代わりに早々その役目を終える運命だったんだ。むしろその短命こそが目的だったとも言える。

改めて2ちゃんねるディスコミュニティ化を防ぐやり方を振り返る良いタイミングなのかもしれない。

  1. 大まかなジャンル掲示板を設置する
  2. 口論が起きるとユーザ口論用のスレッド作成する
  3. 口論収束せず口論用のスレッドが乱立するとlivedoorしたらば掲示板喧嘩板が設置される
  4. それでも口論収束しない場合運営に訴え出て新たに隔離板が設置される

まり2ちゃんねるでは問題が起きるたび枝分かれのように分岐してディスコミュニティ化を防いできたんだ。

ただこれは2ちゃんねるのみで起きたことではない。実は現代(平成終期)のTwitterでも確認している。

それは何かと言えば、Twitterディスコミュニティ化したと捉えた一部のユーザ分散SNSMastodon移住した件だ。

分散SNSはその大半がオープンソース提供され、各自自由に設置できるSNSだ。大小の規模を問わず分散SNS同士が相互接続することでコミュニティ形成している。

その流れの中で生まれたのが「テーマサーバ」と呼ばれる分散SNSサーバで、分散SNSを設置する際に音楽テーマイラストテーマなどお題目を掲げ、ゆるく話題を絞るという試みが起きた(このテーマ絶対基準でなくテーマに合っていない雑談をしても叱られることはない一応のお題目だ)。

2ちゃんのる的に言えば「専門板」に該当し、ゆるく話題を絞ることによって大幅な「板違い」を防ぐことが狙い。あまりにも自由だと怪訝な表情を浮かべざる得ない発言が目立ってしま可能性があるからだ。

分散SNSは「自由」に関してばかり着目されることが多く「ユーザ自由を縛る中央集権や、ユーザ発言価値観中央判断することへ対してのアンチテーゼである」ということが注目されやすいが、実はそればかりでない。

Twitterを例にすると、Twitter運営TwitterでなければならずTwitterを愛するユーザは決して認めないだろうが、分散SNSユーザはすでに「Twitterディスコミュニティである」と見做している。

Twitterを愛する者からすると多くの反論があるだろう。しか現実として分散SNS移住したユーザ代表格として一部のユーザTwitterというコミュニティを見限っている。

Twitter喧嘩板のような口論をし他者を罵るディスコミュニティだと烙印を捺したのだ。自身ルール押し付け合い、自身ルールに反した悪とみなせば徹底的に追い詰める。それがTwitterだと分散SNSユーザは言う。

突然、話は変わるが現在若者に人気のサブカルチャーコンテンツに「Fateシリーズ」という作品がある。

ゲーム小説漫画アニメと幅広くメディアミックスを展開する作品であり高い評価若者から受け人気だ。

そのFateシリーズに「アーチャー」と呼ばれる登場人物が居る。

詳細は省くが、アーチャーはもともと正義の味方へ憧れる少年であり、いつまでもその心を待ち続け、いつしか少年は成長し多くの人々を救ったことで正義の味方代名詞である英雄と称されるようになった。

そんな正義の味方アーチャーが登場するFateシリーズだが、長期シリーズでは付きもの登場人物がどんどん増えていくという長期シリーズの悪習を踏襲している。

そんな中で「オルタ化」と呼ばれる既存登場人物を再定義する設定が追加された。つまり同一人物ではあるが設定の違う二人目が現れたのだ。

もちろん既存登場人物の「アーチャー」にもオルタ化は適用された。ここでは「アーチャーオルタ」と呼ぶことにしよう。

アーチャーオルタアーチャー正義の味方たる魂が反転した存在という設定だ。なんだつまり悪役になったのか?と考えるのは誤りだ。

アーチャーオルタは悪を倒す。それも徹底的に追い詰め手段を問わず悪を殺戮する。悪を倒す正義の味方が反転した存在アーチャーオルタは「悪の敵」である

日本サブカルチャー界は2000年以降、これまで掘り下げられてきた「正義の味方」というテーマを非常に強く掘り下げてきた。もうそろそろ20年に到達する一大テーマだ。

ブギーポップは笑わない」「涼宮ハルヒの憂鬱」「とある魔術の禁書目録」「金色のガッシュベル!!」「機動戦士ガンダムSEED」「テラフォーマーズ」「僕のヒーローアカデミアetc...挙げればキリがないほど様々な正義の味方考察され描かれてきた。昨今の日本流行アメコミもその流れの一環だろう。

そんな正義の味方考察の中で対比として描かれたのが悪の敵アーチャーオルタなんだ。

正義に反する者を悪と断じ、正義の味方に反する悪の敵が徹底的に追い詰める。

Twitterはそんな悪の敵が蔓延ディスコミュニティだと分散SNSへと一部のユーザは逃避した。

2ちゃんのるの頃とは逆に喧嘩板を設置するのではなく、Twitter喧嘩板になってしまたからこそTwitterは最早手遅れだと自らがそんなディスコミュニティではないSNSを立ち上げていった。

これが現在マイクブログSNS世界だ。

しかnote2ちゃんねるSNSのように分岐してディスコミュニティアポトーシスができない。可能方法と言えば中央集権SNSと同様に運営物事の可否を判断することだ。

我々はそろそろ勇気を持って認めるべきだと思う。

Twitterと利用する多くのユーザは公正、平等自由博愛倫理法治人権平和etc...健全を重視して運営コミュニケーションしようと模索し続けており、その結果がディスコミュニティ化してしまった現状であると。

これらを訴えるアナタたちは決して悪ではない。しかアナタたちは正義の味方か?

少年少女の時分で胸に秘めた正義の味方であるアンパンマン仮面ライダーウルトラマン戦隊レンジャーセーラームーンプリキュア魔法少女が今アナタのような言動を取るか?

そして愛を唱え、自由を訴え、平和を願う者たちをWebサービスはどうやってコントロールすると言うのか。中央集権たるnoteにはそれができるというのか。

ディスコミュニティは悪が蔓延って生まれるばかりでない。ディスコミュニティは悪の敵が蔓延っても生まれるのだ。

この視点が欠けている限り絶対に上手く行かないと警告すると共に、noteが今後見せてくれるであろうイノベーションに強く期待したい。

  • Twitter民は悪の敵って言い得て妙だな

  • 喧嘩板がなんて忘れかけてたわ 確かに喧嘩板は深津の論の例外だわな

  • Twitterはテーマが絞られてないからこそ荒れやすいって可能性もあるのかぁ。

    • 馴れ合おうと思ったら結局同じ主義同じ趣味同じ性癖の人で固まる以外にない 増田もそうだが、主義主張や好みが違う奴がひとつところにいるからこそ、そいつら同士で争うことになる ...

  • インターネット史って意外とまだまだ掘れるもんだな

  • 正義に反する者を悪と断じ、正義の味方に反する悪の敵が徹底的に追い詰める。 Twitterはそんな悪の敵が蔓延るディスコミュニティだと分散SNSへと一部のユーザは逃避した。 我々は...

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