初めて本を出す場合、著者にとっては大事件だけど、編集者にとっては数ある企画のうちの一つでしかない。
だから、その温度差はものすごい。著者は「人生が変わるぞ」とワクワクしているけど、編集者は上から課せられたノルマをこなすことしか考えていない。
なので、意見を言い合って一緒に作り上げていく感じはまったくない。ここで肩透かしを食らう。
さらに原稿を書き、校正も終わり、さぁついに発売だぞワクワクしていると、もはや編集者は自分の本のことは考えていないことに気がつく。
何も連絡がこないし、販促として何かが動いている気配もない。やっと連絡がきたと思えば言われることは「SNSで告知してください」。
どうやって売ろうかという会議もない。著者の知らないところで書店にばら撒かれて、売れているかどうかもわからない。
そして何も起こらないまま時間が過ぎ、一年後ぐらいに「あれは何だったんだろう?」とふと思う。
別に今から売れることもないだろうし、「一冊だけ出した人」っていうデジタルタトゥーがついただけだな……とモヤモヤする。
Web発の人とかは、出版前からファンがいるし「書籍化されます」なんて発表すればみんな喜んでくれるし、違うんだろうな
編集者にとっては売れてからが本当の「先生」なのよ。 売れる前は乱射している銃弾の一つでしかない。