しかし、どうやらここ「はてな匿名ダイアリー」においては電子書籍を推すものが多いようだ。
さて、電子書籍派の皆さんは「遺産相続」についていかがお考えだろうか?
はじめに断っておくが、この話はそれなりに面倒くさい。
この「面倒くさい」という点が話のメインである。
電子書籍を避けたがる人間の中には、こういった面倒くさいことを考えたくない人間も少なからずいるだろう。
(本投稿における電子書籍は商品としての電子書籍とし無料のPDFなどは除く)
一言で「電子書籍」といっても質量のあるものとないものがある。
質量のあるもの(コンテンツカセットなど)の場合、紙の本と同様に法的には所有物とされるはずだ。
であれば所有者が死ねば所有物として遺産相続の対象となるだろう。
(もしかするとエンドユーザーライセンスで利用は禁止されているかもしれない)
質量のない電子書籍は法的には「所有権でなく使用権」とされるらしい。
このあたりは「プラットフォームの規約」によるので一概には言えないが。
気になったのであれば、お使いの電子書籍プラットフォームの規約を確認していただきたい。
(なにより面倒なのが電子書籍は規約によって、その扱いが異なる点だろう。そして規約は無数にある)
で、使用権は個人に与えられるもので死ぬと消滅するのだという(※要規約参照)。
この時、天涯孤独の身であれば話はシンプルで死んで誰に迷惑がかかるでもない。
例えば紙の本なら、同じ本は一家に一冊あれば十分だろう。
電子書籍の場合、「一家に一冊」というような言い方は成り立つだろうか?
ここでもまたもや規約によって扱いは異なる、ということになる。
仮に「家族単位での共有のような扱いが許可されている」とする。
(なお許可されないのであれば電子書籍が人数分必要だから「紙の本より数倍高額な価格設定」というだけだ)
その場合、最悪のパターンが「一家の電子書籍の名義がすべて一人に集中しており、その人物が死ぬ」ことである。
名義の持ち主が死んだとき遺族は速やかに規約に則った手続きをとらなければならない。
手続きとは名義の持ち主が死んだことを通告するか、アカウントを削除するかなどだろう。
そうなれば当たり前だが名義と関連付けられた電子書籍の内容を見ることはできなくなる。
もしも名義の持ち主の死後も遺族が死者の名義でアクセスすれば不正アクセスということになるはずだ。
不正アクセスは現行の通称デジタル万引き(違法ダウンロード)よりも重罪である。
静止画のダウンロード違法化がどう転んでも犯罪行為というわけだ。
「使用権であり所有権でない」というプラットフォームの言い分は通るだろうか?
あるいは電子書籍の「使用権を持つものが死ねば使用権は消滅する」という仕組みは国民の持つ感覚とかけ離れたものと判断されるかもしれない。
将来的に法改正などがあり電子書籍がすべて遺産相続の対象となる可能性もあるのかもしれない。
誰か正解を知っているだろうか?
恐らく、正解は実際に裁判などしなければ分からない類のものではないだろうか?
もし電子書籍の遺産相続が認められるのであれば、それはそれで問題ではある。
電子書籍を相続できるならそれを見越した行動がデフォルトとなるのだ。
劣化しないデジタル資産が遺産相続できるのであれば、やがて飽和するだろう。
身寄りのない老人から気まぐれで電子書籍を相続できる可能性だってある。
「待っていれば無料で電子書籍を相続できる」可能性があるなら、個人としては敢えて購入しない戦略もありうる。
(身寄りのない老人の相続狙いだけなら「親族でなければ相続できない」などとすればいいのだろうが)
もっとも電子書籍ユーザーは事前に電子書籍について十分調べているはずだ。
流石に遺産相続ができない可能性に気づかず電子書籍を買いあさっているような人間は実在しないだろう。
恐らく、新聞や雑誌などの紙媒体で捨ててしまっても惜しくなかったものを電子書籍で買っているのだろう。
もしくは遺産相続など最初から考慮していないか、生涯一人暮らしの決意を持つか、といったところか。
しかし電子書籍を布教しようとするときに遺産相続の点を伏せても騙しきれるわけがないと思うのだが、どうだろう?
まさか、出版社が「電子書籍の遺産相続」の面倒くささについて把握していないわけがないはずだ。
であるにも関わらず、その点について特にアナウンスがない点を不思議に思う。
電子書籍ではなく紙の本を売りたいなら、この点をアピールして電子書籍のネガティブキャンペーンすることだってできたはずだ。
順当に考えると出版社としては「名義の持ち主が死ねば、もう一度全部買いなおせ」といったところなのだろうが。
読者の側からすれば「電子書籍で安くなる」どころか「人数分購入する」羽目になり、逆に高くつくのである。
以上に述べたとおり、電子書籍は遺産相続を考えると途端に面倒くさくなるのである。
紙の本なら、扱いはきわめてシンプルで、こんな面倒くさいことはないのに。
恐らく、今後この問題が表面に浮上してくるだろう。
今のところ表立って問題視されていないのは電子書籍ユーザーがまだ若く死んでないためではあるまいか?
あるいは水面下ではすでにトラブルが発生しているのかもしれない。
むかしのソク読みみたいなレンタル形式のほうが電子時代には合理性がある
増田家には、嫁も子もいないので死後の相続もない。
借金って質量無いけど相続できる。 義務とか契約って概念上は相続することに違和感無いはず。 名義の変更等で普通に対応できるのではないか。
「死後のSNSアカウント問題」に通じる話でもあるが対応はサービスの規約によってまちまちである点がまず面倒くさい。 相続できるのか、相続できないのかはサービスの規約次第な...