プレスリリース(https://www.medtronic.com/jp-ja/about/news/pressrelease/2019-01-18.html)より
本事象は、特定の集積回路を使用した製品において、特定のモード設定のもとで心房センシングイベントを感知している最中に一定の条件を満たした場合、心房と心室のペーシングが停止する事象です。この間は、ペーシングが停止し、プログラマや遠隔モニタリング装置でセッションを開始することができず、またマグネットモードに変更することもできなくなります。
プログラマ=ペースメーカーの設定を変更したり、ログを取ったりする機械
マグネットモード=一定周期でペーシングを行うモード。ペースメーカーの上に強力な磁石を置くとこのモードになる
ペースメーカーを植え込むのによくあるケースが電気信号の通り道が途絶えている(ブロック)されていることと、そもそも命令が出ていないケースがある。
そのため、心臓に電線を通して機械で命令を肩代わりするのがペースメーカーである
ただ、ペースメーカーが止まるより
「プログラマや遠隔モニタリング装置でセッションを開始することができず、またマグネットモードに変更することもできなくなります。」
センシングがあればペーシングを停止するというのは通常の動作である事が多い。
これは自分で心臓を動かそうとする電気信号にペースメーカーからの電気信号が乗ってしまうと心停止を起こしかねないからである。
センシングをするなら以下のような動作が行われる。
よく巷で言われる電磁障害においても、ペースメーカーの上に強力な磁石を置けば一定周期で動くマグネットモードに移行し、ペーシングのみを行うことは可能である。
プログラマ、遠隔モニタリング装置、マグネットモードが使用できないということは、こうした不具合での対処法が取れないのである
しかもこれは「特定の集積回路を使用した製品」とあるようにソフト的な問題ではなくハード的な問題であり、修正にはペースメーカーの交換が必要になる。
しかし、ペースメーカーの交換には心臓付近での出血や感染症などといったリスクもつきまとう。
ペースメーカー関連の感染症は抗生剤の効きが悪く非常に難しい問題である。(ペースメーカー周囲には血液が届かないため抗生剤も運ばれてこない)
なにが何でも入れ替えて交換するというより、年齢や病態(センシング不要であれば本事象には関係ない)などを考えて、そのまま使用するか入れ替えるか医師と判断する対応がベストだろう