2018-12-26

スラスラ読めるようになりたい日本古典の冒頭部十二選

いろは歌

いろはにほへと ちりぬるを

わかよたれそ つねならむ

うゐのおくやま けふこえて

あさきゆめみし ゑひもせす

色は匂へど 散りぬるを

我が世誰ぞ 常ならむ

有為の奥山 今日越えて

浅き夢見じ 酔いもせず

竹取物語

今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者有りけり。野山にまじりて、竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば讃岐造(さぬきのみやっこ)となむ言ひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いと美しうて居たり。

伊勢物語

むかし、男初冠して、奈良の京春日の里に、しるよしして、狩りに往にけり。 その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男かいまみてけり。 思ほえず、ふる里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。 男の、着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。 その男、信夫摺の狩衣をなむ着たりける。

古今和歌集 仮名序』

やまと歌は、人の心を種として、よろづ言の葉とぞなれりける。世の中にある人、事業しげきものなれば、心に思ふことを、見るもの、聞くものにつけて、言ひいだせるなり。花に鳴くうぐひす、水に住むかはづの声を聞けば、生きとし生けるものいづれか歌をよまざりける。

土佐日記

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の時に、門出す。そのよし、いささかにものに書きつく。 

枕草子

春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。夏は夜。月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし

源氏物語

いづれの御時にか、女御更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて 時めき給ふありけり。 

はじめより我はと思ひ上がり給へる御方方、めざましものにおとしめ 嫉み給ふ。同じほど、それより下臈の更衣たちは、まして安からず。

方丈記

ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある、人と住みかと、またかくのごとし。

平家物語

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

徒然草

つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

『おくのほそ道』

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。

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