2018-12-24

信じることはいいことか

6年付き合って別れた人のことについて振り返ろうと思う。

私は、仕事を頑張りすぎて鬱になった彼を突き放したひどい女である

彼はとても頭が良くて、ユーモアがあった。

はてなも、彼が長年愛用していたこから知った。

YouTubeお笑い番組も、彼が見ていたから私も見るようになった。

今好んで見るエンタメほとんど彼が教えてくれたものだ。

私ではとても入れないような優秀な大学の中でもずば抜けて優秀な学科に通っていた。

浪人していたことをコンプレックスにしていたけれど、多浪も多い、しばらく不正入試話題になっていたあの業界である

オープン模試では一位もとったんだけど、今では全然でね

と笑って話していた。

同じ地方国立大なんだから、大差ないよ

ともよく言われたけれど、地方国立大底辺と頂点ではえらい違いだというのはよくわかっていた。

私と彼では業界は違うものの、大学に入ってしまえばもう道が決まっており、選択肢基本的一択しかない。それに抗うよりも従った方が効率がいい、というのは共通していた。

とはいえ、できれば従いたくない、抗いたい、という思いも同じだった。

先に従うことを決めたのは彼だった。

命を救うという大それたことに戸惑いを感じながらも、逃れられないのだと覚悟を決めたようだった。

医者になってからの日々は怒涛だった。

医学部の中でも地元では最高峰大学卒業した彼は、初期研修の時期に救急医療技能を身につけたいと、かなり忙しい病院就職した。

あとから、全国の中でも忙しさは指折りだったということがわかってきた。

いつ鳴るかわからない携帯を抱えて家に帰ってくる。鳴らない日も多いものの、鳴るかもしれないという緊張感から逃れられない。

大学時代の友人と会って話をすれば、同じ業界にいながらも自分ほどは忙しくない様子になんともいえない虚無感を感じていたようだった。

はじめはその忙しさでさえ楽しんでいるようにもみえたが、どんどん疲労していくのがわかった。

もともと変わった言動の多い人ではあったが、お金を手にし、時間のない中で、それまでの質素暮らしから変わっていった。

学生時代は通学定期券代を払うために家の電化製品を売るなど、本当にお金に苦労していた彼だったが、

働きはじめてお金を手にすると、

靴下臭いから新しいものを買った

、というから驚いた。

病院では感染予防のために使い捨てのものも多いとは思うが、まさか靴下使い捨てにするとは。

嫉妬多忙疲労が渦巻く闇に彼が飲み込まれていくようだった。

相手を思いやるつもりでかけた言葉なのだろうという上司言葉でも、選び方が下手すぎて傷ついていく彼がいた。

癒されている余裕はない。

生活を立て直さねばという思いから気晴らしにコンサートに出かけようと計画したこともあった。

しかし、チケット購入まではできたものの当日会場に行くことはできなかった。

私は、彼に医者を辞めて欲しかった。

彼の優秀さに惹かれていたが、医者であってほしいとは思っていなかった。

彼の生活を支えるために、私はなるべく早く仕事を切り上げて、彼の家に向かい掃除洗濯料理など身の回りのことをした。

距離は高速で片道1時間ほど。

多いときには週4日は彼の家にいた。

移動だけでもしんどかった。

仕事が終わる時間が夜8時前であれば家に帰らず、高速に乗った。

夕飯の買い物を済ませ、洗濯を回し、時間があれば掃除をして、夕飯を作る。

彼は、10時に帰ってくることもほとんどなく、日付を超えることも多かった。

はじめは起きて待っていたが、体がもたなくなるため、そのうち仮眠をとりながら待つようになった。

彼が帰ってきたらご飯を食べ、片付けをして、夜食を作り、彼が寝てから家に帰る。

次の日も仕事であることを考えれば、夜のうちに帰れば道が空いているため移動時間が短い。

朝まで待てば高速でさえ渋滞し、仕事に間に合うか読めない。

うっかり彼と寝てしまうと、遅刻との戦いになり、冷や汗をかく。

職場に通知してある住所は彼の家よりはるか職場に近い。

結婚したら、住所がうつせる。

そうすれば、周囲の理解も得られ、少しでも楽になるのではないか

そう思いながらも、結婚は遠かった。

朝日が昇るかどうかという時間帯に高速に乗って帰る日々は決して楽ではない。

疲労から居眠り運転もあった。

運転に命の危険を感じていた。

私が住所を置いていた家と、彼の住む家との生活圏は全然違っていた。

自分が苦しいときしんどいときに、いつも苦しんでいる彼に頼ることはできなかった。

頼ろうと思ったこともあったが、結果ストレスが増えるだけだった。

風邪で辛いか長ネギ豚肉ビタミンをとろう、簡単に作れるように鍋にしようと買い出ししたのに、あとは切って煮るだけなのに

なぜあなた宅配ピザを頼もうとするのだ。

こちらは病人なのである

何が食べられるか、何が食べたいか、少し考えていただきたい。

幸い、職場環境には恵まれており、自分が苦しいときは力になってくれる職場の同僚がいた。

いつか結婚するのだろう

そうすれば、きっと楽になれるはずだ

未来希望を抱いていたとき、彼から勧められて読んだのが、闇金ウシジマくんだった。

正直、私はウシジマくんが好きではない。

ウシジマくんよりはナニワ金融道の方がまだ、よい。

勧められて仕方なく読んだのが、洗脳くんだった。

洗脳くんを知らない人にはネタバレになるが、

北九州連続殺人事件元ネタになっている話である

私はそれまでこの事件のことを知らなかったが、内容が衝撃的すぎて、受け止めるのに時間はかかったものの、事件について少し調べた。

主犯の男が、1人の女性を惚れさせ、洗脳させ、支配下に置く。

親族を殺させ、そのあと処理をさせる。

なぜこんなことに、なぜ、なぜ、…

どうしたら回避ができた?

どうしたら、

恐ろしかった。

我が家典型的亭主関白である

一般的な家庭で、よくあることだと思っている。

女は男を立てるもの

ウシジマくんを読むまでは、それでいいと思っていた。

正直、男性に対して少し馬鹿にする意味合いも含んでいたと思う。

従っているそぶりを見せておけば満足するなんて浅はかな人たちだ、くらいに思っていた。

男性は偉そうな態度を取るのが当たり前だと。

でも、それでいいと受け入れている感覚こそが、あの事態を招く可能性を秘めているのではないか

そう思うようになった。

わたしは、洗脳くんを他人事として読めなかった。

もし何か踏み間違えたら、わたしはこの渦中にいてもおかしくない。

人を信じることは素晴らしいことで、疑うことはいけないことだ思っていた。

性善説を信じてきた。

でも、世の中には、信じ続けて、従い続けて、それがこんなことになってしまった事例が事実として存在している…。

これまで信じてきたことを覆されたような気がした。

私は彼を信じていてよいのだろうか

その先に結婚はあるのだろうか

その結婚は救いなのだろうか

それは自分が望んでいることなのだろうか

北九州連続殺人事件は、主犯である内縁の夫がいなければ起こりえない事件である

一番の凶悪犯は内縁の夫で間違いない。

しか

妻が、盲目的に信じていなければ、もっと早く外に出て意見を求めていれば、思考停止になっていなければ、…

ちはやふるの序盤、小学生時代の話の中で、(記憶がおぼろげなのでセリフは正確ではないことをご容赦願いたい)

ちはやが新に

私の夢はお姉ちゃんが有名になること

と無邪気に話すと、新は

それは、夢とは言わん。夢は自分で叶えるもの

という。

彼が医者として立派に働くことは、彼の夢であって、それを私の夢にしてはいけない。

ほんとうに彼を信じていいのか

その先に幸せはあるのか

2人の幸せを追求するのであれば、私は医者を辞めて欲しかった。

環境を変えなければ共倒れになると思った。

優秀な人だから活躍の場はいくらでも作れると確信していた。

もっとゆっくりした、穏やかな生活を望んだ。

けれど、彼は医者であり続けることを選んだ。

私は人生の最大の危機を、闇金ウシジマくんに学び、ちはやふるに救われたと思っている。

2年前、彼と別れ、今の旦那出会い結婚し、もうすぐ第一子が産まれる。

あのとき夢みていた穏やかな生活の中で、クリスマスキャロルを見て、ケーキを食べている。

ときどき、よそのお家の、家事育児に非協力的な旦那さんの話を耳にしては、もしあのまま前の彼と結婚していたら…と想像する。

クリスマスにゆっくり家族と過ごすことは当たり前ではない。

休日旦那休みであるのも当たり前ではない。

家庭内殺伐とした戦場ではなく、落ち着け安心できる場所にしてくれたのは今の旦那である

私よりも育児書を読み、妊婦のためのレシピを調べ、作ってくれる。

ほんとうにありがたい。

誰か家庭をみてくれるような人の支えなくしては出来ないような働き方を望む会社はこの先も存続していくのだろうか。

その犠牲となり、苦しんでいる人たちはどうしたらいいのか。

働き方改革医療業界でも行われているのだろうか。

今となっては知る術もないが、身を粉にして働かれている方々に救いのあらんことを。

  • 長いわボケ こんだけ書いてまとめ無しか

  • 信州大学だと思って読みました。 あなたは幸せを勝ち取った。 すばらしい。

    • うんうん、つくづく電通は罪深いな。。 日本だけだよこんなの。

  • しんじるじゃなくて  相手を信じたことにして相手に責任を押し付けてるだけ

  •   結局 起きている時間帯に ボケるだけとなる                                              anond:20181224111216

  • 2年も前に、 違う男性と結婚してる増田さんが 楽しそうで良かったですね 「++やってくれるありがたい」みたいな「してくれること」に喜びを見出すタイプって 相手が調子悪くなっ...

  • ご懐妊おめでとう🎈元彼が救われますように

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