当たり前だが無から有は生まれないし考察も無から生まれない。ぶっちゃけ考察なんて慣れの問題で誰にでもできる。
ある作品に対して、
お前が思う「すごい」はどれだ。そしてどの能力を伸ばしたい。
1に必要な能力は物語論であって、キャンベルでもシド・フィールドでも石川千秋でもいいからその手の本をいくつか読んでみろ。たとえば貴種流離譚という概念を知っているだけでスター・ウォーズやバーフバリとかの作品の捉え方が変わる。
2に必要な能力はキャラクター論で、大塚英志『キャラクター小説の作り方』や新城カズマ『物語工学論』あたりでも読んでみろ。キャラクター類型という概念を前提に作品に触れてみろ。
3に必要なのは作品読解というよりその作品にあてはめうる「テーマ」について持っている自分自身の引き出しの問題だ。ラブストーリーひとつとっても、恋人未満の二人が恋人になる話、共依存関係が破綻するまでの話、三角関係の話、NTRもの、泥沼群像劇等々色々あるだろう。たとえば、コーマック・マッカーシー『ロード』は火を運ぶというメタファーから「受け継いでいく話」というテーマが読み込める筈で、そこからあの世界観において「受け継ぐ」が「世代交代」に繋がるというのは一つ言える。無数に存在する「テーマ」の類型の引き出しを作れ。
4はとにかく数をこなすことだ。小説なら作者の過去作品・インタビューを全部調べて読み込め。映像作品なら監督・脚本・演出その他諸々(全部とは行かないだろうから最低前述の3つ)の過去作品を調べてみろ。できればインタビューも読め。そして過去作品のなかのどの部分がその作品に共通しているのかを読みこめ。
5はこれまでの全部に共通する「演繹力」を磨け。「この設定であれば、この要素が欠けているのはおかしい」という想像を働かせつづけろ。「このキャラクターがこのような性格をしているのには理由があるはずだから、きっと過去にこういうことがあったのかもしれない」「この作品はこの作品のオマージュなので、きっとこういう展開になる」等々、上記で必要な引き出し全部を使っていけ。
二次創作もそれと同じだ。パターンだ。パターンを考えろ。AがBに対して愛情表現をするとする。どういうアプローチが考えられるか。気持ちを言葉にするかしないか、身体的スキンシップを含むか含まないか、そのときに照れるのか照れないのか、笑顔を浮かべるか浮かべないか、言葉にできないならどう表すか、ものを渡すのか、第三者にのろけるのか、色々パターンはあるだろう。考えて考えて考えろ。そのためには読んで読んで読みまくれ。自分のなかに引き出しを作れ。質は量で担保される。
この程度の知識があれば誰でも語れる/考察可能だと知るわけで、必然的に考察を語ることはなくなるし、誰でもそこにたどり着くなら考える必要もなくなる。 anond:20181124141244