六本木のベンチャー企業に勤めていたが「会社にどんな価値をもたらせますか?」という質問を繰り返し繰り返し受けていたら病んで結果的に退職となった。
質問を重ねる話法は元々苦手だったんだけど、目標なり課題なりを上司と話すたびに「それはチームにどんな価値をもたらしますか?」「どんなメリットがありますか?」「会社にとってどんなプラスになりますか?」「チームにとってのメリットとは何ですか?」と畳み掛けられるたびに自分に対して懐疑的になり段々と自信がなくなり、休職の末の退職だった。
ここまでにいたるに約2年。上司との面談は2週間に1度。2週間ごとに価値のある人間だったかを問われ続け辛かった。こういうのは自己肯定感が強いと耐えられるものなのかな?具体的に自分の成果が数字で現れるような職種ではないのでなおさらどうしたらいいのかわからなかった。
この価値提供問答に先輩達は(就活のノリで)茶番やショートコントで乗り切ると言っていたが本当に何もしてないのに茶番やショートコントが上手い人が評価を得ていたこともつらかった。それが社会と言われたこともあったが茶番=価値になってしまうわけで、茶番がうまい先輩に押し付けられたタスクを深夜になるまで対応し続けた日々は何だったのだろうと遣る瀬無い気持ちになった。
すぐ業務で使えるわけではないが将来的に必要かもということを勉強していた時もそれって必要ありますか?今業務で使わないですよね無駄ですよね価値なしと言われてそこまで言わなくても…と口に出しそうだった。価値提供とはなんだったのか?今でも価値やメリットという言葉を聞くと頭にモヤがかかる。
さらに追い討ちをかけたのは婚活だった。婚活の場でも「あなたと結婚することで相手にどんな価値を提供できますか?」だった。家事は一通りできるし節約レシピは得意だけど「相手が家庭的な女性を求めてないなら価値がないことになりますよ?」だって。家事くらいみんなできるので価値ではないとのお言葉もまぁそうだよねと思いつつそれならもう圧倒的な収入とか実家の太さとか揺るぎないアゲマンとかそういうのしか価値がないのではと思い詰めるくらいには視野が狭まっていた。
そろそろ社会復帰しなければならないのだが「あなたにはどんな価値が?」とフラッシュバックして動けなくなる。自分にはどんな価値があるのかこの歳でわからないなら社会的に価値はないということなのかな。価値を提供できるようになるにはどうしたらいいのかわからない。そもそも価値って何だろう?