地下鉄にて
(お、角の席が空いてる、座っとこ)
数分後、次の駅
(若い女の二人組が来た、あ、二人並んで俺の隣に座った。おい二人組の右側の方、こんなキモいおっさんの隣でいいのか? ま、スマホの画面と女同士でおしゃべりに夢中で俺のこと一切気にしてねえみたいだな……)
(おい女、お前のひじと上腕が俺のひじと上腕に当たってるよ! こんなキモいおっさんと腕の生肌同士が接触していいのかよ? お、俺は何も自分から隣の女に触れてないぞ! 俺の両手はさっきからずっと講談社現代新書を開いてて、自分のひじは自分の脇腹に密着させててこれ以上引っ込められないぞ!)
(うへぇ、俺の上腕に当たってる若い女の上腕の生肌すべすべのぷにぷにだぁ……そうそう、上腕の生肌っておっぱいと同じ感触って言われるんだよなあ……じゃなくて、おい女、腕引っ込めないのかよ? あ、相変わらずスマホの画面と女同士でおしゃべりに夢中で、隣のおっさんがこんなにキモいとか一切気づこうともしてねえな)
(ああ、すべすべのぷにぷにの上腕マジ気持ちいい、お、俺は一切自分から手を触れてねえぞ! 俺の両手はずっと講談社現代新書を持ってるからな! 俺の上腕が偶然、若い女の上腕に当たってるだけだからな!)
「次は~、大手町駅~♪」
(おっと、降りねばならんか、にしても隣の女、最後まで腕も引っ込めず俺のことを一切気にしなかった。うむ、今日はラッキーだったなあ)
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もし心の声が隣に座った女に聞こえてたら、周囲の乗客全員からタコ殴りにされても文句言えんわ
どう考えても痴漢だろ俺?
情熱の赤いバラそしてジェラシー
ゴミを引用するな