2018-08-19

推し俳優として殺された

地方の小さなスクリーンで、八王子ゾンビーズライブビューイングを見た。

ストーリーのこと、時事ネタのこと、女性へのいじり方のことなどは指摘している方が多数いるので割愛して、推し活という観点だけで気持ちを書き留めたいと思う。

推しが殺されていた。ゾンビの役だとかそういう話ではない。俳優として殺されていた。

推しの配役は双子兄弟というものだった。背格好は似ても似つかず、顔もパーツひとつ取っても似ているとは思えない。他作品の絡みのいうこともあって、そういう"狙い"が見え透いている役どころだなあ、と発表のときぼんやり感じたし別にそれはよくあることだから何とも思わなかったが、少しの危惧が頭の片隅に芽生えた。そしてその危惧は悲しくも現実になってしまった。

双子というもの演劇で扱うときにはしばしば見られると思うが、同じ台詞を同時に喋るというものがある。

それ自体別に悪ではないと思う。とんでもないステレオタイプだとは思うが、分かりやす表現方法なんだろう。

推しに与えられた台詞は、自分名前または兄弟役の名前を呼ぶというたった三文字単語以外、全て双子言葉を揃えるというものだった。同時に元気に高らかに言葉を読み上げるだけ。そこには抑揚も表現も何もない。ただ合わせて声を張り上げるだけ。そこに彼らが俳優として役に命を吹き込む余地はない。

もしその双子兄弟の役どころに奥行きがあり、物語があるのならそれでもまだ余地はあったのだろう。けれど、八王子ゾンビーズというチームのその他大勢だ。

万引きを繰り返してきた双子兄弟、という設定はあった。いや、設定しかなかった。それはその他多くのゾンビたちにも当てはまるだろうが、ひとりひとりのバックボーンはない。それをやっていると、あのぐだぐだしたストーリーを完結にしたところで2時間では済まないし、難しいのはわかる。仕方がないし不要なのだらうとは思う。けれど、それならそれでせめて、双子ではない兄弟ではだめだったのだろうか。主要キャスト以外の各人に与えられた数少ない台詞。その短いセンテンスで、彼らに俳優として演技をさせてやってほしかった。でも私の推しは、一定テンポで声を揃えることに集中するだけの作業しかさせてもらえていなかった。

数公演続いた2.5次元作品がひと段落ついてから、初めての演技の仕事だったのに。演技のひとつもさせてもらえないのか。ただ、わちゃわちゃして、ダンスやって。それだけだった。

推し舞台上でにこにこして、ぴょんぴょん飛んで、踊っている姿が可愛くなかったかと聞かれたら、めちゃくちゃ可愛かったですと答える。推し笑顔はいだって可愛い

ただ、私は推し舞台上でかっこいいかわいいだけで満足というタイプではなくて、それが自分でわかっているから、今回の作品チケットを取らなかった。昨年にもあった、イケメン俳優がたくさん死んでる某作品のことがあったから。

演技の仕事が発表されたら、初めての作品はどんなに忙しくても懐具合が厳しくても必ず行こう。2.5次元作品に出演している真っ只中、半年前くらいからそう決めていた。

けれどどうしても駄目な気がする、肌には合わない作品ではないか、という予感が大きすぎて、遠方から駆けつけることをどうしてもどうしても躊躇ってしまった。絶対に行くって決めていたから。

でもこの判断は正解だったかもしれない。本当は、生で見たかったし推しお金を落としたかったけれど、推し俳優として殺されているところを1万払って2時間も見せられたら、今頃宿泊先のホテルで泣いていた。演技させてあげてほしかった。ダンスの上手さで売っている子だったのなら、それでも多少は満足感を得られたかもしれないけれど。

推し以外も多分、そんな感じだったのではないかなと思う。正直、中心にいることが多かった3名ほどのゾンビ以外は、その他大勢という感じだった。チームを作るために頭数が必要だったかイケメン揃えました、という感じ。去年の大量死作品よりも、個々のキャラクターに奥行きがなかったのではないだろうか。

私は推し俳優をさせて貰えなかったことが悲しすぎて気が回らなかったけれど、他の俳優さんを推している人がどう感じたのか聞いてみたい。全然フラット意見じゃなくて構わないから。

  • タイトルと「なんかよくわからんがクソ長文である」という点しか読んでないけど たぶん腐女子だろ? 当たってる? 男の文章じゃないわな、きっと

  • 私は推しが初主演の舞台だったので劇場に二回行きました やっぱりストーリーやその他諸々思うところはあって二回目はギリギリまで行くかどうか迷いました 明らかにゾンビーズの皆さ...

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