話の流れから、男4女2の6人グループで夏祭りに行くことになった。あの子の浴衣姿はとても麗しかった。
小ぢんまりした花火があって、急な坂と石段を登って、その先の神社で鑑賞した。
帰り道の下り坂、慣れない草履と浴衣とで麗しのあの子が少しずつ集団から遅れた。
一人置いてくわけにもいかず、僕はその子に合わせてゆっくり隣を歩いた。
皆は気づいているのかいないのか、わっきゃわっきゃ騒ぎながらスタスタ進んでいった。
だいぶ距離が離れて、暗い坂道は僕とあの子だけの空間になった。
遠くから夏祭りの賑やかな声が聞こえて、だけど、ここだけスポット的に全部の音が吸い込まれるように静か。
これって告白するシチュエーションかなと思い当たった瞬間くらいに、前を行っていた奴らが振り向いて叫ぶ。
「おまえら遅せーぞ!」
追いついた僕たちを冷やかすでもなく何事もなかったように迎え入れてくれる。
きっとこの先も僕たちは付き合うことはないと思うから、あの帰り道は2人がいちばん近づいた瞬間になるのかも知れない。
と思ったので増田に記録しとくわ。