2018-08-04

とある宇宙人日記

ある所に一人の宇宙人がいました。

彼は自分が何者かわからず、何をしていいかもわからず、ただ空間彷徨っていました。

そんな時、彼に笑いかける一人の少女がいました。

彼はその少女一目惚れし、自分もそんな存在になりたいと願いました。

彼は宇宙人だったので、その少女の姿に変化することができました。

憧れの姿になった彼は、自分少女のようになりたいと思い、世界を歩き始めました。

しかしその頃、少女がいた世界では、大きな問題が起きていました。

少女の偽物が、大量発生していたのです。

少女は戸惑いました。そのママは怒りました。

あなた達は何なの?」「私達の前から消えて!」

少女の偽物たちの反応は様々でしたが、

彼はそれを自身への否定と捉えました。

「僕はここにいたらダメなんだ」

彼はその日から少女の姿を取る事を止めました。

新しい自分の姿を探して、また世界彷徨い始めました。

けれど、彼の瞳に映る少女の姿を上書きできる存在は見つかりませんでした。

少しの日々が過ぎ、少女を取り巻く環境は変化していました。

少女とそのママが、偽物達に対する理解を深めてきていました。

あなた達は、私の事が好きだから、私の姿になっているのね」

「たくさん妹が増えたみたいで、いいんじゃないかしら?」


彼は喜びました。自分存在を、初めて認められたような気がして。

もちろん本当の娘なんかじゃ無いし、少女とその母親とは会話した事すら無い。

それでも彼は、心の底からしかった。

母親に捨てられた子供が、

「ここにいてもいいんだよ」

と言って貰えた時のように。

彼は、再び少女の姿になり、少女母親に会いに行きました。

でも彼は臆病だったので、見ている事しかできません。

そんな時

貴方も私に会いに来てくれたの?ありがとう


彼は言葉を発せませんでしたが、

精一杯の笑顔で答えました。

あなた存在が、私の希望になってくれたのだと。

まれてきてくれて、ありがとう



櫻歌ミコに恋した、一人の宇宙人より

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