おばあちゃん運転手が運転するタクシーが自転車で飛び出してきたおじいちゃんと衝突した。
おばあちゃん運転手はすぐさま車から降り衝突してしまったおじいちゃんの元に駆け寄ったが何も出来なかった。
三角停止板も積んでいないし発煙筒の使い方も分からないようだった。
周りの人が駆け寄り意識の確認をしたり倒れた自転車を道に寄せたりして車の通る道を確保していた。
おばあちゃんは堂々と信号は見ていなかった、横断歩道を見て誰も居なかったから左折したら自転車が飛び出してきたと説明していた。
青ざめながらも信号は見ていないと悪びれる事なく淡々と語っていたし、三角停止板も積んでなければ発煙筒の使い方さえ知らないのだ。
そんなおばあちゃん運転手を見ながら僕は母親を思い出していた。
70過ぎであろうおばあちゃんは何故タクシー運転手をしなければならないのか、僕は母に同じような状況に陥れてしまうのではないのか、とてつもなく恐怖を感じた。