2018-07-05

善意を疑ってしまった話。

今日通勤途中、改札を出て少し歩いたところで男女が蹲っていた。

なんか終電で良く見るちょっと痛いカップルみたいだと思って私は無視しようとした。

が、どうも様子がおかしい。

女の子はまだオープンしていない店舗の壁にもたれて蹲り、ハンカチで顔を抑えて酷く具合が悪そうだった。

男はへらへらと笑いながらそんな女の子の向かい彼女を覆うようにしゃがみこみ、腕をさすっていた。

随分年の離れたカップルだなと自分に云い聞かせて、一度通り過ぎようとしたが、どうにも気になって戻ってみた。

私はその二人の傍にしゃがみ込み、どうされました? と訊いてみる。

男は私を見て、彼女気分が悪いみたいでと云う。

じゃあ駅員さん呼んでやれよと思いながら、私は今度ははっきりと女の子を見て、体調が優れませんか? と訊いた。

女の子は真っ青な顔を上げて貧血だと云った。歩けますか、と聴くと頭を弱々しく振り、誰か呼びましょうかと云ってもまた頭を振る。

男はずっと女の子の腕をさすったまま。

私は何もすることができずにそんな二人を眺めていたが、このまま置いて出勤することも出来ずにもう一度女の子に声を掛ける。

普段貧血の時はどうしてますか?」

「寝転がって、落ち着くのを待ってます。でも今日は酷くて」

飲み物はありますか?」

「あります

「これからお勤めですか?」

「あの、学生で。学校が」

「じゃあ、駅員さん呼んでくるんで、休んでしっかり水分補給して下さい。落ち着いたら学校遅刻か欠席の連絡して」

そのまま私は改札に走って行って駅員さんに声を掛けた。彼女と男の人をふたりで置いていくのも心配だったけど、それでもあのままでもいけないと思った。

駅員さんはすぐに車椅子を持って来てくれた。

対応は早くて優しくて、おっさんもさっさと駅員さん呼んでやれよと私は思った。

駅員さんが車椅子に乗れますか? と女の子に訊いたけど、彼女は立つのも困難そうだった。すると男が彼女の体を担いで座らせてあげた。

それも私はなんだか嫌だったけど、女の子は私よりも随分と背が高かったし駅員さんも車椅子を支えてて、その人がやるしかなかったので仕方なかった。

駅員さんにもうお任せしても大丈夫ですか? と訊くと大丈夫ですと言われたので私はそのまま出勤した。

男の姿はとっくになかった。

女の子のことは心配だったが、それ以上に男に対して苛々してならなかった。

弱った女の子の体をさすりながらへらへらして、助けも呼ばないなんて。

そんなことをずっと考えていた。

けれども、ふと。彼女をひとりにするのが心配で男が付きっきりで傍にいてあげたのでは? と考えてみた。

体をさすってあげていたのも、彼女を介抱してあげていたのでは?

私一人では彼女車椅子に座らせてあげることも出来なかったのに。

私が最初から嫌な奴だと思って接していたから、男の善意を疑っていたのでは???

いや、でも。

それでもあれはやっぱりおかしかったと思う。

その時、以前、倒れた女性を介抱しようとして痴漢と間違われた男性のことを思い出した。

今回は私はああ言う対応が出来たが、もし自分が何も出来ない時、その場にいた男性を疑わずすべてを任せることが出来るだろうか?

人命が関わった時、この人に下心があったらどうしようと思ってしまったりするのだろうか?

そんな風に考えると急に不安になってしまった。

私は人の善意を疑ってしまっていた。

  • ワイになら安心して任せてくれてええで 泥酔した女の子を拾ってホテルで看病した事がなんどもある 役得として先っちょだけ入れさせてもらうがあくまで善意しかない もし具合のわ...

  • それは役得でしょう 救助でヘリで被災者釣りあげるとき 若い女釣りあげる隊員をほかの隊員みな嫉妬してるだろう

  • ヘラヘラしているだけでアウトだよ 介抱しようとしているなら心配そうな顔するし通りかかった人に声をかけようとする そもそも常識的な男性なら知らない女性の体は触らない

    • ちょっと体に触れた程度のことでこうやって邪推するやつがいるから悪意のあるやつ以外が参加しにくい アドリブで動く状況なのに後から冷静な目で見てこの動きは非合理だよね難でこ...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん