2018-06-24

ある"女性エンジニア"のぼやき

増田独り言です。

増田生物学的性・性自認性的指向すべて女性で、社会人になってからずっとエンジニアをしています

最近、皆さんもご認識の通り、あるイベントでの発表が物議を醸しています

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/logmi.jp/294756

この発表や付随する世の反応(主にTwitter)を拝見してからずっと、心臓がざわつくような感覚を覚えています

自身気持ちを整理するため、今まで自分が”女性エンジニア"として生きてきて遭遇した様々な不自由さと、本件に対して思うことを文章にしてみたいと思います

ただでさえ特定されやす属性ですから、多少のフェイクが混ざるかもしれません。

(この呼称自体好きではありませんが)“女性エンジニア”として数年生きてみて

セクハラによる退職

初めて、かつ最大の不自由さを感じた出来事は、ある会社で起きたことでした。

言葉にしてしまうと、とてもシンプルでよくあることかもしれません。

セクハラあい、それによって退職しました。

加害者はかなり年上の男性でした(以下Aとします)。

どのようなことがあったのかは、思い出したくもないことなので割愛します。

具体性を欠く話になってしまますが、複数第三者告発を経て収束した出来事でしたので、

行きすぎたフェミニスト過剰反応ではない旨、信用していただければと思います

当時の私は、Aによる様々な行為我慢してしまっていました。

  • いつか飽きることを期待していた
  • 周りに迷惑をかけたくなかった
  • 恥ずかしくて言えなかった、

色々な心情からしてしまたことではありますが、今となっては全く無駄時間を浪費してしまったと反省しています

私にとって幸いだったのは、Aに子供がいなかったことです。

もし子供がいたら、きっとこのまま泣き寝入りしてしまっていたと思います

結局、様子のおかしいことに気がついてくれた職場の同僚や先輩が、各所に通報してくださり、

最終的には弁護士を通じての示談という形に落ち着きました。

Aは社内で秘密裏制裁を受け、私には謝罪いくらかの示談金が与えられました。

Aとは直接話をしていないのですが、真摯謝罪をしてくれたと信じています

ただ、それまでの過程でAの上司から受けた言葉で、もうこの会社はいられないと思い、転職する結果となってしまいました。

Aは社内でもそれなりの地位にいたため、その上司となると執行役員クラスになります

上司からは対面で「自分監督不行き届きだ、申し訳ないことをした」という旨の謝罪を受けましたが、その中の小さな一言本音が見えてしまいました。

「ただ”この程度のことで”Aを懲戒解雇にはできない」

この一言で、もうこの会社から貰う給料で生きていたくないと思うようになり、できる限りの早さで転職先を探し、退職届を出しました。

仕事自体に不満はなかったため、必要ではあるが不本意転職となってしまいました。

すぐ転職できる状況だったなら、示談金も受け取って得したじゃないかと思われる方もいるかもしれません。

しかし、この件でしばらくは心療内科のお世話になることになりましたし、最寄駅もAに知られていたため転居の費用もかかりました。

現実は大赤字でした。

今でこそ心療内科のお世話にはなっていませんが、当時は自力睡眠を摂ることもできなかったし、

Aに似た背格好の男性を見ると動悸がして動けなくなったりしました。

何より、一度損なってしまったもの回復しても元どおりにはならないのです。

この出来事を境に、自分は心身ともにすっかり変わってしまったと感じています

マイノリティとして目立ってしまうことのリスク

本件を通して、一人のエンジニアとして受けた損害は不本意転職だけではありませんでした。

当時、はてなブログ簡単技術メモのようなことをしていました。

退職後のことですが、そのブログに「楽しそうだね」とコメントがつきました。

きっと私の考えすぎだと思います。そうでない可能性も十分にあると思います

それでも、「俺はあんな目にあったのにお前は会社を辞めて楽しそうにやっているな」という、

Aからの恨みのコメントなのではないかという不安にとらわれてしまい、ブログはすぐに閉鎖しました。

それ以来、パブリックな場へのアウトプットは一切できていません。

しかしいまや、公的な場へのアウトプットを求められることは、エンジニアにとって当然の時代となりました。

GithubQiitaなど、エンジニアとしての名刺代わりになるようなアカウントプライベートに閉じることは、

エンジニアとして生きる上で大変もったいないことだという自覚はあります

これももう昔のことですから、今更何かあるなどとは思っていません。

それなのに、なぜだか、アウトプットへの気概のようなものを根こそぎ失ってしまい、それを回復できずにいます

技術サーベイパスしたり、リファラル採用活用することで、今現在もなんとか転職活動はできているという状況です。


他にも、勉強会などいろいろ

これ以降も、女性であるがゆえの不自由さには度々遭遇しました。

エンジニアとして採用されたにも関わらず、顧客の受けがいからという理由で、業務時間の大半を営業同行にあてられてしまった会社もありました。

再三の改善要求にも応じる気配がなかったため、その会社短期間で退職してしまいました。

会社を見る目がなかったと言われてしまうと、それまでのことですが…

勉強会に参加すると、結構確率司会者アイスブレイクネタに使われてしまます

ひどい時は、受付の時点で「会場を間違えていませんか」と言われてしまうことあります

今日女性参加者もいらっしゃいますね、嬉しいですね。どちらからいらしたんですか」など、大半が悪意のないもので、非難する意図はありません。

ただ、自分自身コントロールできない属性理由に人々の注目を浴びることは、なかなかに消耗してしまうということも、ご理解いただきたいと思います

今回の騒動を受けて

多くの人が問題意識を感じている一方で、何が問題なのかわからない・気にしすぎだと表明している人も少なくありません。

こちらのブログで丁寧な所見が述べられていますが、それでもなお、納得のいかない人がいらっしゃるようです。

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/piro.sakura.ne.jp/latest/blosxom/topics/2018-06-22_women.htm

私にできる限りのシンプルな補足をしようと思います

問題記事の「女性エンジニアが少ない問題」を「我々の職場女性が少ない問題」、「女性エンジニア」を「女性」に置き換えてみてください。

記事としてなんら問題なく、意味意図も通ってしまうと思います

エンジニア」という専門職女性として論じておきながら、その実、期待する役割は「声や女性らしい立ち居振る舞い」といったジェンダーロールの顕現でしかないのです。

これが、女性エンジニアへの侮辱でなければ何なのでしょうか。

おそらく、「女性エンジニアが少ない」ではなく単に「職場女性が少ない」問題であれば、ここまで炎上することはなかったのではないかと思います

(もちろん「女性」でも駄目ですが)

ここまで腑に落ちていただければ、

などといった反論が、全くのお門違いであるとご理解いただけるのではないでしょうか。


私たち女性という属性たまたま持っていただけのエンジニアなんです。

エンジニア扱いをしてほしいのです。

それをする気がないのであれば、もしくは性差について論じなければならない状況でないのなら、

わざわざ「女性エンジニア」などとカテゴライズして槍玉にあげないでほしいのです。

こんなことを主張しなければならない状況に、もうずっと私たちは消耗して疲れ果てています

もちろん、女性であるがゆえに得する場面も多いでしょう。

それでも、もし、次の生をエンジニアとして受けて、性別自由に選べるとしたら、私は迷わず男性を選びます

今では働く環境にも人にも恵まれています

不本意転職を重ねたといえども、見え始めた自分キャリア一定の満足もしています

それでも、ふと「自分男性だったらどんなエンジニアになっていただろう」と考えることがあります

いつも少し悲しい気持ちになって終わります

  • 同性として、概ね同意するが「女性」なら炎上しなかったと言うところは納得いたしかねるね 炎上するべきだろ

  • ブログに書き込んできたのがAであろうがなかろうが、縁の切れた人間の戯言は無視するのが一般的には健康だ。 もっとも、ブログに書き込んだのがAであることはまずないと思うが。 考...

  • 全然読んでないけれど俺が次にまたエンジニアになるなら女性エンジニアになりたいよ 生理休暇とかで毎月休めるし本当にうらやましい 夜勤もないしいろいろと優遇されてちやほやされ...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん