増田は生物学的性・性自認・性的指向すべて女性で、社会人になってからずっとエンジニアをしています。
最近、皆さんもご認識の通り、あるイベントでの発表が物議を醸しています。
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/logmi.jp/294756
この発表や付随する世の反応(主にTwitter)を拝見してからずっと、心臓がざわつくような感覚を覚えています。
自身の気持ちを整理するため、今まで自分が”女性エンジニア"として生きてきて遭遇した様々な不自由さと、本件に対して思うことを文章にしてみたいと思います。
ただでさえ特定されやすい属性ですから、多少のフェイクが混ざるかもしれません。
初めて、かつ最大の不自由さを感じた出来事は、ある会社で起きたことでした。
言葉にしてしまうと、とてもシンプルでよくあることかもしれません。
どのようなことがあったのかは、思い出したくもないことなので割愛します。
具体性を欠く話になってしまいますが、複数の第三者の告発を経て収束した出来事でしたので、
行きすぎたフェミニストの過剰反応ではない旨、信用していただければと思います。
色々な心情からしてしまったことではありますが、今となっては全く無駄な時間を浪費してしまったと反省しています。
もし子供がいたら、きっとこのまま泣き寝入りしてしまっていたと思います。
結局、様子のおかしいことに気がついてくれた職場の同僚や先輩が、各所に通報してくださり、
Aは社内で秘密裏に制裁を受け、私には謝罪といくらかの示談金が与えられました。
Aとは直接話をしていないのですが、真摯に謝罪をしてくれたと信じています。
ただ、それまでの過程でAの上司から受けた言葉で、もうこの会社にはいられないと思い、転職する結果となってしまいました。
Aは社内でもそれなりの地位にいたため、その上司となると執行役員クラスになります。
上司からは対面で「自分の監督不行き届きだ、申し訳ないことをした」という旨の謝罪を受けましたが、その中の小さな一言に本音が見えてしまいました。
「ただ”この程度のことで”Aを懲戒解雇にはできない」
この一言で、もうこの会社から貰う給料で生きていたくないと思うようになり、できる限りの早さで転職先を探し、退職届を出しました。
仕事自体に不満はなかったため、必要ではあるが不本意な転職となってしまいました。
すぐ転職できる状況だったなら、示談金も受け取って得したじゃないかと思われる方もいるかもしれません。
しかし、この件でしばらくは心療内科のお世話になることになりましたし、最寄駅もAに知られていたため転居の費用もかかりました。
今でこそ心療内科のお世話にはなっていませんが、当時は自力で睡眠を摂ることもできなかったし、
Aに似た背格好の男性を見ると動悸がして動けなくなったりしました。
何より、一度損なってしまったものは回復しても元どおりにはならないのです。
この出来事を境に、自分は心身ともにすっかり変わってしまったと感じています。
本件を通して、一人のエンジニアとして受けた損害は不本意な転職だけではありませんでした。
当時、はてなブログで簡単な技術メモのようなことをしていました。
退職後のことですが、そのブログに「楽しそうだね」とコメントがつきました。
きっと私の考えすぎだと思います。そうでない可能性も十分にあると思います。
それでも、「俺はあんな目にあったのにお前は会社を辞めて楽しそうにやっているな」という、
Aからの恨みのコメントなのではないかという不安にとらわれてしまい、ブログはすぐに閉鎖しました。
それ以来、パブリックな場へのアウトプットは一切できていません。
しかしいまや、公的な場へのアウトプットを求められることは、エンジニアにとって当然の時代となりました。
GithubやQiitaなど、エンジニアとしての名刺代わりになるようなアカウントをプライベートに閉じることは、
エンジニアとして生きる上で大変もったいないことだという自覚はあります。
これももう昔のことですから、今更何かあるなどとは思っていません。
それなのに、なぜだか、アウトプットへの気概のようなものを根こそぎ失ってしまい、それを回復できずにいます。
技術サーベイにパスしたり、リファラル採用を活用することで、今現在もなんとか転職活動はできているという状況です。
これ以降も、女性であるがゆえの不自由さには度々遭遇しました。
エンジニアとして採用されたにも関わらず、顧客の受けが良いからという理由で、業務時間の大半を営業同行にあてられてしまった会社もありました。
再三の改善要求にも応じる気配がなかったため、その会社は短期間で退職してしまいました。
会社を見る目がなかったと言われてしまうと、それまでのことですが…
勉強会に参加すると、結構な確率で司会者のアイスブレイクのネタに使われてしまいます。
ひどい時は、受付の時点で「会場を間違えていませんか」と言われてしまうことあります。
「今日は女性の参加者もいらっしゃいますね、嬉しいですね。どちらからいらしたんですか」など、大半が悪意のないもので、非難する意図はありません。
ただ、自分自身でコントロールできない属性を理由に人々の注目を浴びることは、なかなかに消耗してしまうということも、ご理解いただきたいと思います。
多くの人が問題意識を感じている一方で、何が問題なのかわからない・気にしすぎだと表明している人も少なくありません。
こちらのブログで丁寧な所見が述べられていますが、それでもなお、納得のいかない人がいらっしゃるようです。
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/piro.sakura.ne.jp/latest/blosxom/topics/2018-06-22_women.htm
問題の記事の「女性エンジニアが少ない問題」を「我々の職場に女性が少ない問題」、「女性エンジニア」を「女性」に置き換えてみてください。
記事としてなんら問題なく、意味も意図も通ってしまうと思います。
「エンジニア」という専門職の女性として論じておきながら、その実、期待する役割は「声や女性らしい立ち居振る舞い」といったジェンダーロールの顕現でしかないのです。
おそらく、「女性エンジニアが少ない」ではなく単に「職場に女性が少ない」問題であれば、ここまで炎上することはなかったのではないかと思います。
(もちろん「女性」でも駄目ですが)
ここまで腑に落ちていただければ、
などといった反論が、全くのお門違いであるとご理解いただけるのではないでしょうか。
私たちは女性という属性をたまたま持っていただけのエンジニアなんです。
エンジニア扱いをしてほしいのです。
それをする気がないのであれば、もしくは性差について論じなければならない状況でないのなら、
わざわざ「女性エンジニア」などとカテゴライズして槍玉にあげないでほしいのです。
こんなことを主張しなければならない状況に、もうずっと私たちは消耗して疲れ果てています。
それでも、もし、次の生をエンジニアとして受けて、性別を自由に選べるとしたら、私は迷わず男性を選びます。
不本意な転職を重ねたといえども、見え始めた自分のキャリアに一定の満足もしています。
同性として、概ね同意するが「女性」なら炎上しなかったと言うところは納得いたしかねるね 炎上するべきだろ
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全然読んでないけれど俺が次にまたエンジニアになるなら女性エンジニアになりたいよ 生理休暇とかで毎月休めるし本当にうらやましい 夜勤もないしいろいろと優遇されてちやほやされ...