数年前の話になる。
会議が深夜から始まることが多く、日本の家も寝るだけの場所だったので、解約した。
実家が近かったけれど、ウィークリーマンションを借りるか、ホテルに泊まるようになっていた。
会議で帰りが深夜2時くらいになると、そこでご飯を食べるようになった。
私は飲めないのだが、申し訳なかったので、ビールを一杯か、ノンアルコールカクテルだけは飲んだ。
彼女は、50代くらいのシングルマザーで成人したお子さんが3人いる。
彼女のまったりした雰囲気に癒されていた私は、自分の話はしなかったけれど、
子育てがひと段落し、バーで出会ったらしい彼氏と、恋を楽しんでいるようだった。
彼女の生い立ちや恋バナを聞いていたら、連絡先を聞かれた。
「こういうの私、普段しないのよ、今度ご飯に行こう、会わせたい人がいるの、気があうと思う。」
若いバーのマスターが「あの人はいい人だよ」と言うので、ご飯に行った。
誘われた場所に行くと、彼女より10歳くらい年上の男性がいた。
彼氏というその人は、かなり上下関係に厳しい人で、上司とその奥さんと飲んでいるようだった。
地元と言うのは面倒で、
その彼氏ともれなく共通の知人がいたり、若干の仕事上のつながりがあったりで
無下にも出来ず、深夜に呼び出されたら、行くようになった。
イエスマンと化して、ただ時を過ぎるのを待ち、飲めもしないのに、飲むふりをして、
そして、少しずつ、彼女に対して、疑問に思う事が出て来た。
「小さいお金持ってる?」と言ってくる。
もちろん、大した額でもないので、最初は気にせずに渡していた。
と思いながらも、そう聞かれたら、半分下さいとは言えなかった。
働いている様子はあったが「携帯代払えないから、息子に連絡しよー」とか平気で言う。
「私もあなたくらいの時にやりたい事がたくさんあった」
と言うのが口癖で、海外の話をよく聞いて来た。
実際、仕事なので、観光には縁がなく、あまり答えられなかったけど
苦労したんだろうなと思って聞いていた。
すると、「母親が具合が良くないんだけど、息子たちが旅行に連れてってくれるよ!だから頑張ろうって言ってるの」
と言った時「自分が連れてくんじゃないんだ」とかなり引き気味になっていた。
もうだめだ、やめよう。と思っていたが、
なぜか、その時は、2人を無視出来なかった。
ある時、同僚と入った出張先のホテルのバーで、その話をしたら、
「バーでは珍しい話ではありません。水商売の人も不倫も多いしですし、
と言われた。
そして、「バーに入る時は、ある程度、高級なところに入った方がいいですよ」と忠告してくれた。
同僚も「金づるとダシじゃん、バカなの、お前」とキレた。
その時、初めて、それに気づいた。
2人は、別々に来たし、別々に帰って行っていた。
彼女から、子供の話は聞いたけど、彼氏から家庭の話は聞かなかった。
私は、アホだった。
それから、速攻で電話番号を変えたので、その後のことは知らないが、
2人はかなりの有名人だった事がわかった。
そして、件のバーは、マスターがクズで、女の子に手を出しまくり、犯罪で捕まって、潰れた。
彼らにあっていた時、かなり苦痛だったのに、
全く状況を理解出来ず、使命感のようなものに囚われて(うまく言えない)
今でも、何がどうなって、そうしていたのか、よくわからない。
何から何まで話す人もいないし、聞いたりもしない。
深入りした人間関係ばかりでなくても、それでもいいと思って来た。
でも、こう言う形で、人間関係の勉強するとは思っていなかった。
2人が悪い人かどうかは、わからないけれど、
読んでいただいた方、ありがとうございました。
お疲れ様。 そうです。爆弾って落ちてるのです。その爆弾を見分けて逃げれるようにしないとね。