2018-05-27

夕闇のピニャータ

夕刻娘と公園散歩に行くと、またヒスパニック系の方々が陽気な音楽パーティーをしているのです。彼らのお祭に欠かせないのがピニャータしかしそのピニャータ。星型、ボール型、そしてロバでさえも現代っ子を十分に興奮させるのが不可能になったようです。結果、ボール紙の張り子で作った愛くるしいアニメキャラクターお菓子を詰め込んだものを吊し上げ、それを無垢子供が棒でひたすらぶっ叩くというなんとも凄惨光景が展開されるわけです。今宵の生贄はピカチュー。三歳の我が娘は、スペイン語囃子歌をバックに浅黒い肌の子供が交代でピカチューを散々にリンチするのを不思議そうに、そして興味津々に眺めておりました。油断して少し距離を縮めすぎたら、世話好きそうなメキシコ人のおばさんが「お嬢ちゃんもやるかい」と打ち棒を勧めてくるのです。流石に娘もこれはホラーだと感づいたらしく、棒を辞退して事なきを得ました。その後ピカチューは年長の男の子に腕を打ち落とされ、その殺気に刺激された対抗心旺盛の次の子の一撃でとうとう首が半分もげ、金色の体が大地に崩れ堕ちたのです。瞬間、「わーっ」という声とともに満身創痍ピカチューに群がる子供たち、いやあれはゾンビの一群。瞬く間にピカチューは八つ裂きにされ、子供たちはその体内から溢れ出るキャンディーの奪い合いという地獄絵巻の最終章突入したのでした。娘を抱き上げて脱出を図る私に彼女一言、「わたしキャンディー欲しい!」実は、一番恐れていた言葉がこれだった。

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