2018-04-18

不妊博士が体外あれこれ

※さいしょに

東京都では妻の年齢が35歳未満までなら不妊検査助成金が5万円まで出る。

精液検査対象なので、気になるかたは是非近くのクリニックに行ってほしい。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/kodomo/kosodate/josei/funinkensa/gaiyou.html

男性不妊話題になってるから私も書く。長いよ。

夫29歳妻28歳。

結婚して数年たつの子供ができないか

近所のクリニックで調べたら精子が1ml中、200匹しかいなかった。(基準値は1ml中に1,500万個以上)

旦那は「検査前日に緊張して寝れなかったから抜いちゃったの…だからこんなに少ないのかなあ」

と言ってたけどそれは全然関係なかった(笑)

数回検査しても数十匹から数百匹程度。絶望した!

街行く男性を見てこの人だったら精子はいるのかな、とか

違う男性結婚してたらこんな悲しい思いはしなかったのかな、とか思った。

そっからは怒涛の検索

精索静脈瘤というコブが原因なら手術すれば自然妊娠可能って知ってそれを期待したけど

残念ながら旦那は違った。

単に精子がほぼない人だった。

精子が数百匹程度だと子供を持つには体外受精しかない。

体外受精について

ここで体外受精について少し説明する。

体外受精とはその名の通り、卵子精子を体外で受精させて戻す方法だ。

一言でいうと簡単だが(実際男性精子採取するのは超カンタン。単に出すだけ)

卵子を取り出すのが大変。


卵子を取り出すためには卵巣に針を刺してシュッと吸い取る採卵という方法をとる。

これがめちゃくちゃ痛い。採卵の前日は緊張して寝れなかった。

採卵は全身麻酔でやってくれるところもあるから怖いなら麻酔オススメ


刺激周期と自然周期について

体外受精には刺激周期と自然周期というものがある。

卵子は通常では月に1個しか排卵されないが、実は卵胞の中にはたくさんの卵子の卵が眠っている。

そのたくさんの卵子の卵を薬で均等に大きくさせて一度の採卵で数個の卵子を取るのが刺激周期。

薬を使わず自然に大きくなった卵子だけを吸い取るのが自然周期だ。


どちらの方法が良いのかは議論が分かれている。

刺激周期はホルモン剤を多用するし、自己注射といって自分お腹注射をしないといけないか

働いている人には負担が大きい。お金も高い。


一方自然周期はとくにやることはないが、月に1個しか採卵できないため

失敗が続くと毎月採卵の可能性が出てきて結果的金額負担も大きくなる。


ちなみに海外ではほとんどが刺激周期だ。理由は刺激周期のほうが成功率が高いから。

自然周期は成功率が低いため禁止している国もある。

しかし何故か日本では自然周期が相変わらず人気である

ナチュラルとか自然思考に惹かれるお国柄だろうか。

体外受精と顕微授精について

その採卵した卵子精子受精させるのだがその受精方法にも大きくわけて二つある。

体外受精通称ふりかけ)と顕微授精だ。


ややこしいのだが体外受精というときこのふりかけを指すことがある。

これはシャーレに置いた卵子精子ふりかけ方法だ。

精子がみずから卵子に向かっていくため顕微授精よりは(?)自然方法と言われる。

しかしこれも数値の足切ラインがある。

夫の数百匹という数値では顕微授精しか選択肢はなかった。


顕微授精とは元気な精子を1匹だけ吸い取って卵子に注入する方法だ。

この方法はまだ成立してから30年程度しかたってないか不安視する人も多い。

でもわれら夫婦にはこの選択肢しかなかった。


胚盤胞を目指す

私はとにかく旦那精子の少なさをカバーするために

卵子を多くとる必要があったので刺激周期で採卵した。

おかげで12卵子がとれて、4つ胚盤胞になった。


胚盤胞とは受精卵が5日目頃まで成長した姿。

この胚盤胞移植するのが一番着床率が良いとされているので

多くのひとはこの胚盤胞を目指す。


二子を望む人はここで胚盤胞を何個か冷凍保存しといて

また戻したいとき解凍して移植する。

無精子症の人はTESE

男性不妊の話に戻ろう。

夫の場合は少なくとも精子が数匹いたから顕微授精できたが

全くいない無精子症という人もいる。

その人の場合最後の望みをかけてTESE(テセ)という手術を行う。


タマタマを切開してスプーンみたいな器具精子採取する。

これで精子がとれれば顕微授精で子供を授かれる可能性が出てくる。

ダイヤモンドユカイさんなんかはこの手法で3人子供を授かった。

ユカイさん著「タネナシ」は名著なので男性不妊のかたは読んだ方が良い。


だがこの手術、切開するまでは精巣に本当に精子いるかからない。

切開しても1匹もいませんでした…、というパターンもよくある。本当に辛いとおもう。


また九州とあるクリニックでは精子になる直前の

精母細胞というものから妊娠までつなげる技術を持っているらしい。

iPS細胞研究が進めば、完全に無精子症の人でも妊娠につながるかもしれない。

移植した結果

胚盤胞を2回移植して2回目で妊娠した。

現在妊娠5カ月。

男性不妊と分かって死にたくなるほど絶望してた頃とは大違いだ。



検査にいきましょう

結婚して数年たっても子供が出来ない場合は、速やかに近くのクリニックに行った方がいい。


妊活時間との勝負である

うちはたまたま男性不妊だったけどとにかく女性の年齢が上がるほどに妊娠率は下がり流産率は上がる。

仕事で忙しくても検査だけは行った方がいい。

不妊クリニックには驚くほど若い女性男性もいる。

全然恥ずかしくないし、仲間がいる気持ちがして心強いはず。


そして男性不妊が発覚した場合には男性不妊専門医がいるクリニックをお勧めする。

男性不妊女性不妊に比べまだまだ未開拓専門医が少なく、

TESEが満足に出来る医者日本でも数人しかいない。

メンタルケア

男性不妊だろうが体外受精女性負担がかなり大きい。

望まない注射や採卵など、妻は「夫のせいで…」と思ってしま確率が高く

実際男性不妊が原因で離婚したカップルも知ってる。


から自身男性不妊と発覚した男性は、

辛いだろうが体外へ進む妻へのサポートをお願いします。

具体的には「ごめんね」と言ったり、「体外頑張ってくれてありがとう」と言うことだ。


女は多分に感情の生き物であり、

どんなにつらくても感情に寄り添ってもらえれば頑張れるのだ。


逆にどんなに合理的であっても

感情に寄り添ってもらえないと愛情はどんどん薄れていって

辛い体外を乗り越えられないと思う。


実際うちの夫はとにかく「ごめんね」「ありがとう」と言ってくれた。

私はこういう夫でなかったら男性不妊が発覚した時点で離婚を決意していたかもしれない。


不妊治療の辛さは何より先が見えないことだ。

何回採卵すれば、何回移植すれば子供が出来るのかわからない。

周りは自然妊娠してるのに私たち医療の手を借りないと妊娠できない。

その思いはまさに暗闇のトンネルを歩く気持ち


からこそ理解し合える唯一の相手の手を取り合えなければ

体外は乗り越えられないと思う。

でもその先に光はある。

体外の成功率は一概には言えないが現在20人に1人は体外で生まれてくる子なのだ

お金の話

お金の話を忘れていた。

体外はだいたい1回の採卵と移植につき

自然周期で30万~50万

刺激周期で40万~80万あたりが相場と思う。


これは1回の金額なので回数が増えればその分増えていく。

男性不妊場合さらに顕微授精費用検査費用がかさむ。


自治体によって助成金も数十万でるので色々調べてみてほしい。

うちは結局トータル140万くらいかかったが助成金で50万くらい戻ってきた。

男性不妊が発覚したときいろんなところで検査したため金額が上がってしまった。


体外よもやま話

体外受精では着床率をあげるために卵2個戻しというのをよくやる。

日本では多胎の危険を恐れて35歳以上でないと基本的に2個戻しはやらない。


海外セレブでよく双子妊娠話題になるが、私はあれは体外なのだろうなと思う。

忙しいセレブにとっては排卵日に合わせてセックスするのも大変だし、

体外で、さらに一度の妊娠で2人産めるほうが効率的だという考えなのだと思う。

  • 男性自身のメンタルケアは? 不妊の原因が己にあると判明して生物としての欠陥性に思い悩むのは性別に関係ないと思うのだが

    • 身体的な負担が女性に偏るからこそ、だろ 男性不妊だろうとホルモン打ちまくりの精神的に不安定な状況で激痛治療を行わなければならないのは女性だから

      • オトコザルの最低限の機能すら満たさないオトコザル未満が弱音なんて冗談きついよねー

        • つーか自分のせいで他人に多大なる負担を強いているのに 自分のメンタルの方を優先的によちよちして!なんて男とは即離婚でいいわな 何でそんなに図々しくなれるのか

    • 「辛いだろうが」って書いてあるじゃん そこをグッとこらえて妻を支えるのが男ってもんだろうが

      • そもそも妻の方が遥かに辛いわけだが

        • そうなんだよねー 己が欠陥品ゆえに妻にさらなる負担を掛けることを本当に心の底から反省してほしい

    • 事実欠陥品なんだから分をわきまえてそれでも捨てずにいてくれる上に自分が肉体的負担を引き受けてくれる仏様みたいな配偶者に感謝して支えなさいよ

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん