私は今まで、自分自身のことを冷静な人間であると思っていた。大学は理系学部を修士まで出たし、論理学も好きで趣味として教科書を読んだりしてきた。幼い頃の兄弟喧嘩を除いて、喧嘩なんてしたことなかったし、周囲の人間からの評価も「大人しそう」「キレたら怖いタイプ」といったところだった。キレたことがないのでキレたら怖いのかどうかは分からない。
しかしアラサーになり、自分は冷静な人間ではないのではないかと思い始めた。
最近転職をしたのだけれど、転職先で毎日のように上司から叱咤されている。
もちろん原因は私にあるので、叱咤された内容については反省し次に生かそうと思うのだが、偶に、「それは私に言ってもしようがないのでは」といったことや、「そもそも叱咤されるようなことではないのでは」といったことでも一方的に注意を受ける。例えば、別の上司の方にアドバイスをいただいた後に「あの上司は出来が悪いから、話を聞かないように」と言われたり、要領が悪いと指摘していただいた後に「女なんだから、業務時間内に仕事を終わらせて(ここまでは分かる)、家で料理とかして旦那さんを喜ばせたらどうか(そこまで言われるのはおかしいのでは?)」と言われたり、特に関係のない第三者の批判を聞かされたり(自分のことではないのは分かっていても、何故か私は、他人への批判も自分のことのように感じてしまい冷静に聞くことができない)。
そんな時、心の中ではそれは違う、と思っても、口から出るのは「申し訳ありません、はい、すみませんでした、気をつけます、仰る通りです」といった言葉ばかり。それどころか叱責が続くうちに、無意識のうちに涙が出そうになって、堪えるのに必死になって、余計何も言えなくなる。
落ち着いて冷静にと必死に自分に言い聞かせるが、そのうちにある定点を越えると、パニックに陥ったかのように自責の感情が溢れてどうしようもなくなってしまう。
表面上は神妙な顔なり、相手に合わせるための笑顔なりを作りつつ、その場をやりすごすが、そのあとは変な疲労感でぐったりしてしまう。
早く仕事に慣れたい。
そして、冷静に叱責を受け止め、言うべきことはしっかりと言えるようになりたい。
典型的な加齢の症状。