本気で好きだった二次創作の文字書きさんがいた。この人を仮にAさんとしよう。
初めてAさんの小説を読んだ時に「これが天才か」と本気で思った。素晴らしい世界観と伏線の数、圧倒的文才が紡ぐ文章に私は心奪われた。すぐに他の小説も片っ端から読んでいった。読まずにはいられなかった。全てクオリティが高く、読んだ後の私はある種の達成感に浸り放心状態だった。
でも私とAさんのジャンルが被ったのは一作品だけだった。更に言うなら被ったそのジャンルでAさんが書いていたCP小説は私の守備範囲外のCPで、ぶっちゃけ逆CPの方が本命、まであった。それでもAさんの小説が好きだった。逆CPなのが気にならない程に素晴らしい作品だった。
Aさんが別ジャンルに移った時、Aさんの小説を読みたいがためにわざわざアニメを、少し視聴した。二次創作を読みたいから元ネタを見るなんて本末転倒にも程があるのは分かっていたが、そんなものは関係ないと言わんばかりに、今まで1mmも興味の湧かなかったアニメを見ていた。
ある日気づいたらAさんの作品は全て削除されていた。
Aさんの更新頻度はどちらかというと低いほうだった。しかも当時の私の本命ジャンルとはかけ離れたジャンルの小説をAさんは書いていたので、私は更新チェックを怠っていたのだった。
なぜ削除されたのか、理由が知りたくて私は私が知りえるあらゆる方法で検索をかけまくった。
調べて分かったことは、Aさんの活動の休止に伴って今までの作品やTwitterアカウントを削除した、ということだけだった。
その時私はあの、Aさんの作品で初めて読んだあの、この人は天才だと思わずにいられなかったあの作品が読みたくてAさんのページにアクセスしたのに、全て削除されていたこの喪失感。正直耐え難かった。
それから私はどうにかあの小説が読めないだろうかと模索し始めた。魚拓でもなんでもいいからとっておけばよかったと本気で思った。むしろ誰かがとった履歴が無いか3つくらいの魚拓サイトで確認した。そんなこと考えるのは私だけみたいだったけど。
ネットにあげたものは一生消えることはないと言われる現代で、私はあれほど好きだった小説を見つけることが出来なかった。
だが、収穫がなかったわけではない。
Aさんの小説が読みたくて私がアニメをわざわざ見たあのジャンルの小説なら、私のPCに何故かtextファイルで残っていた。私は嬉々として小説を読んだ。
素晴らしかった。保存しておいて本当に良かったと思った。
でも、素晴らしかったからこそ、私はあの初めて読んだ小説がまた読みたくて仕方がなかった。
わがままだ。
Aさんが作品を削除してから1年半の時間が過ぎた。もう見つけられない。
もしかしたら、あれだけの小説を書くAさんなら、また別名義で小説を書いているかもしれない。でも、見つけられない。
イラストなら、ハンドルネームを変えても絵柄や色塗りの特徴で気づくことはあるが、小説でハンドルネームを変えた人を見つけられるとは思えない。
少なくとも私には無理だ。
それでも、読みたい。
タイトルに「もう一度だけでいい」と書いたが、こんなの嘘っぱちだ。
もしまたあの小説を読めるようになったなら、魚拓でもコピペでもスクショでもなんでもいいから保存して、何度も何度も読み返すのだろう。私はそういう奴だ。
いまだに私はAさんの小説、特にあの初めて読んだ小説のことを思い出す。
あの小説が読みたくて読みたくて堪らない。
私はいつまでたってもあの小説に魅せられ、囚われ続けるのだろう。
もうお目にかかるとこは一生ないのだろうけれど。
ここで作品聞けば?誰か見つけてくれんじゃね
原作には無い恋愛関係を書いた、異性愛者のキャラを同性愛者に改変したものだったから気が進まないんだ…
そんなときのための5ちゃんでは 増田は国会議員も見てるから・・・
Internet archiveにも無いの?
無かった…