あなたの声が二度と聞けないのがさみしい
あなたの声は私をこれほどまでに変えたのに
これほどまでに涙を流しはしなかったのに
数少ない思い出は斯くのごとく膨らんで
ナミダナミダに
あなたの望まないナミダとなって
溢れていってしまう
これほどあなたの死を悼む私は
あなた以外のこれまでの死を
足蹴にしてきたのかもしれない
私が本当は一日延ばすことができたかもしれない命を
足蹴に
そんなものはまったく値しなかった
誰かの命を一日延ばすことができたところで
さいごに話したいことがあった
あんなに急に
ひとはそんなに急に
はかなくなるとわかっていた私が
己のために
己のちっぽけなプライドのために
いや一言じゃほんとは足りなかった
いつかあなたを忘れるその時まで