2018-03-10

[]桃次郎

むかしむかし、あるところに太郎がいました。

太郎川辺で遊んでいると、川上から「どんぶらこ、どんぶらこ」という辞書にない謎の言葉と共に大きな桃が流れてきたので、太郎は桃を拾い上げて家に持ち帰りました。

太郎のパパとママが大きな桃を割ってみると、中からさな男の子が出てきました。「桃次郎」と名付けて大切に育てました。

 

太郎のんびり屋で趣味に生きていましたが、桃次郎は正義感に溢れていました。

ある日、桃次郎は言いました。「パパ、ママ太郎、鬼ってのがいるらしいね。退治に行ってくるよ」

意志の堅い桃次郎を止められる者は誰もおらず、桃次郎はきびだんごを受け取って征伐に出かけました。

 

道中、犬がきびだんご凝視しながら近づいてきました。

桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、くださいな」

「私は桃太郎ではない。桃次郎だ」

「あれれ、そうでしたかすみませんでした。お元気で」

 

道中、猿と雉も「桃太郎さん、きびだんごください」と言ってきましたが、同様の手順を踏み、桃次郎は一人で鬼ヶ島上陸しました。

鬼との戦いが始まりました。しかし、桃次郎ひとりだけではとても戦力不足。圧倒的な力の差。

記憶走馬灯のように流れる中「さっき散々間違えられた桃太郎ってのは一体誰なんだ」という疑問が浮かびながらも一瞬で消え、桃次郎は敢えなく死亡しました。

 

ものんびり屋で趣味に生きていたので、人間世界を襲撃することは一切ありませんでした。

めでたしめでたし

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