こちら増田。冷たさが浸食して家の暖かさが失われつつあります。今は布団に身を潜めています。どうぞ。
窓という薄皮に守られていたここはもうやられてしまった。成功などという他人の評価を自分が望んでしまった弱い心が悪い。
などと言っても自分を責めても何も変わらない世の中だ。今は変わらぬ過去を責めている時ではない。
布団という最終絶対聖域ラインにいる自分!考えろ。まだチャンスは残っているはず。頭を回転させろ。また失ってしまうのか。昨日約束したではないか。どうして、どうして、自分は。。。
ここの暖かさが怠惰を誘う。一歩踏み出すだけでいいのに、その一歩がいつもでない。
性根はなにも変わってない。それを隠そうとただ証明したかった自分。わかってたはずだった。でも認めるのが怖かった。
わかってる。わかってる。いや、分かろうとしてない。
こんなの嫌だ。変わるんだ。何をしてるんだ。ここから出るんだ。
大丈夫だよ。僕はいつも君のそばに居る。少しなら僕の残り香が守ってくれるはずだから。君一人でやることはない。
自分、やるよ。
後押しされた体は一瞬にして目的遂行を目指した。ここから出た身体は冷たさからの猛追を受ける。しかしそれが心地良い。心地良いのだ。
守ってくれてる。その実感が速さを加速させた。
最初の努めは冷たさを閉じ込める窓をロックしなければならないこと。早くそして丁寧に矛盾に満ちたこの言葉が今はわかる。
矢継ぎ早に手で窓を右にスライドさせ、流れるように歌うようにロックをした。
まだだ。
その勢い衰えず、右足を軸に方向転換。右手は休ませて利き手じゃない左手の出番。野球ドラフトでは利き手じゃない方の手で勝利を掴む迷信がある。
いいだろう。そんな質じゃないが今日ぐらい信じてやろう。
一直線に迷わず引き寄せるように伸ばした手にはエアコンのリモコン。
ピピッ
空調の低い音が冷たさの鋭い刺を奪ってく。ここにもそろそろ春が来るか。
冷たさに曝しすぎてしまった呪いで硬直したこの体も直に戻るだろう。
目からは涙が出てきたが、今日の勝利の美酒はビールにしとこう。
成功の習慣で朝は窓を開けるとよいっていう習慣を頑張ってみたものの、寒くて布団に潜り込んでしまい、大事な時間をぬくぬくとしてた朝の話。
いいね。こういう文章好き。