アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観て思う,「そういえば最後に手紙を書いたのはいつだったろうか」.
インターネットが発達して,わざわざ人が紙に文字を書き,数日かけて離れた人に届く『手紙』という文化は久しくなった,と思う.現に郵便局での郵便物の扱う数は減っている[1].少なくとも自分はTwitterであったり,このように誰が書いたかも分からない匿名日記として言葉を残すだけ,鉛筆を握ることもあまりなくなった.若い世代では皆そうなのではないか.年に一回の年賀状というものさえ減少傾向にある[2].
そんなご時世に,このアニメだ(正確にはこの基となったラノベは2015年に出版されている.が,いずれにしても手紙の文化は消え始めているように思う).自動手記人形という職人が,文字の書けない人・上手く言葉にできない人の思いを書き起こす,というちょっと昔のヨーロッパといった感じの世界観.
時代錯誤だ,と最初は思った.しかし時代相応でもあるのだ.と今は思う.
手紙は限られたリソースの中で,自分の思いを伝える手段であった.羊皮紙にペンで丁寧に書き,封筒に入れて封蝋をする.一つでも間違いがあればやり直しだ.インターネットのある今ではそれが分からない.2chでは罵倒の嵐,Twitterではクソリプが飛び交う...ACジャパンすら懸念を表明しているゾ.
だからなのか,丁寧に書かれた人の思いを(アニメの中ではあるが)目にすると何故か泣ける.いつからか,こんなにもマトモに人に思いを伝えることをしなくなったのだと思い知る.
そして手紙を出したくなる.
[1] http://www.stat.go.jp/data/nenkan/66nenkan/zuhyou/y661503000.xls
[2] https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20160110-00053278/