2018-01-20

失恋した。結婚する

夏くらいから密かに憧れていた人に失恋した。

会社の同僚。別部署でほぼ接点はないんだけど、二ヶ月に一回くらい仕事を頼まれる機会があった。好きになったきっかけとか覚えてないんだけど、たぶんものすごくタイプだったんだと思う。穏やかで多くは語らないけど、とても物腰の丁寧な人。たぶん。たぶん、とつけたのは、それほど彼のことを知らないからだ。ほぼ業務上のことしか話したことは無いけど、一度だけ二人で雑談をする機会があった。はにかみながら私の仕事に興味を持って質問してくれたり、仕事ぶりを褒めてくれたりしたので、私はそれはそれは舞い上がった。あと業務メールちょっと親しげだったこととかもあって、勘違いだろうなと思いながらも完全に期待していた。目で追う毎日。彼の部署の近くを通る時も社食で見かける時もすごくすごく意識していたし妄想の中で私は彼とたくさん話す機会に恵まれていた。自分でも気持ち悪いなと思うくらい仕事中も彼のことしか考えられないみたいな、いわゆる恋に落ちていました。

遡ること春先、私は学生の頃から付き合っている彼氏プロポーズをされている。嬉しくて泣きながらプロポーズを受けた。とても申し分の無い人だ。性格価値観もほどよく合うし一緒にいてとても楽だ。この人を一生大切にすると心に決めている。不満点をあげるとすれば、まあ、2年以上のセックスレスくらいだ。

指輪を決めたり式場を決めたり両家の顔合わせをしたり、結婚に向けての準備がどんどんどんどん進んでいく。私の気持ちはどんどんどんどん職場の憧れの彼に向かってゆく。心と身体が別の方向に進んでいって車裂きの刑みたいに引き裂かれるような感覚だった。進んでゆく結婚の準備に、心が全く追いつかない。恋人とは遠距離恋愛だったので準備のために二ヶ月に一度ほど会うのだけど、彼は私を求めてくれない。部屋から彼を送り出した後、わんわん泣いた。あー、女として求められないって悲しいんだな。この人と結婚したら私は一生セックスを諦めなきゃいけないのかな。一度でいいから、職場のあの人に触れられてみたいな。

もっと知りたい触れたい話したい抱かれてみたい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい

もう自分失望しか無かった。こんなに自分のことしか考えられない人間だったんだな。さらに最低なことに、私はこの婚約を覆すつもりは無かった。恋人恋人家族自分家族共通の友人が知ったらきっと軽蔑されるだろう。婚約を報告した段階でもう色んな人を巻き込みすぎているし、恋人のことはとても好きだし、周りの人間もとてもとても大切だった。それでも憧れの彼に、近づきたくて仕方がなかった。

から私は、彼とは意識的距離を取るようにした。業務メールの終わりに親しげな文章が入っていても無視ビジネスライク対応しかしない。極力目で追わないようにする…これはあまりできなかったけど。

元々接点があまりいから、接触しないようにするのは簡単だった。そうやって自分から距離を作って三ヶ月くらいかな、だんだん彼のことを考える時間も減っていった。妄想の頻度も減っていって、もう平気かもと思えてきた。結婚に対しても前向きな気持ちが戻ってきた。良かった、これで良かった私の判断は間違っていない。


そんな余裕を取り戻していた矢先、彼と仕事をする機会が降って来た。突然のことで気持ちの準備をする暇もなくどきどきしながら打ち合わせに向かった。あー自分心音が大きいな。気づかれませんように。

久々に間近で彼を前にして気づいたことがあった。



左手の薬指に、指輪を、している。



頭を棍棒で殴られたような、あまりにも衝撃が大きすぎて、ただただ混乱した。は?既婚者?今まで指輪してなかったよね…?ああ、最近入籍でもしたのかな。年頃だものね。そっかぁ。女性経験のあまり無さそうな大人しい顔をして、帰ったら奥さんを抱いているのか。そっかそっかぁ………

その場は頑張って普通対応をしたけれど、打ち合わせが終わってから一瞬で仕事が手につかなくなった。また脳内で彼のことしか考えられない状態が逆戻りだ。なんでだろう。胸が、とても、痛い。

ああ、私、失恋したんだ。

私に興味を持ってくれたと思ったのも、親しげなメール文章も、全部全部勘違いだったのか。って、こうやって書き出してみるとまじで仕事仲間としてしか接してないな。なんでこんな些末な出来事でこうも盛り上がれたんだろう。これが独り相撲ってやつ?あんなに妄想して一人でマリッジブルーになんてなったりしちゃってさぁ…そもそもあの人の意識の中に私はいなかったんだ。あーきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもい私って、本当に気持ち悪いな。

そういうわけで久しぶりの失恋が応えていて、ふとした瞬間に暗い気持ちが襲ってくる。胸の奥がツンと痛む。1ヶ月後には入籍を控えている。うん。これで良かった。何も無かった。私の心の中以外では。もし夫に先立たれたり、止むを得ない理由離婚することになった時、あの人も独り身になっていたりとか、無いかな。無理そうだな。そしたら来世で一緒になれたりしないかな。一度で良かった。一度触れて、失望して、嫌いになったりしたかった。妄想の中の憧れの人は、いつだって完璧だった。寿退職したらもう会うこともないだろうからあなた完璧なまま私の中に残り続ける。

とかなんとかポエムチックなことを散々言ってるけれど、そのうちきっとなんで好きだったんだろう?って思うんだろうな。恋愛なんてそんなものだ。恋はいだって盛大な勘違いから始まるんだ。あの時万が一、彼が私に好意を抱いてアプローチしてくれることがあったら本当に危なかったな。これから先も誰かに心を持っていかれそうになる機会は何度かあるんだろう。私に限らず、夫にもそんなことがあるかもしれない。そんな時にこの経験を思い出すんだろう。どうかこれから先も、目先の欲求に捕らわれて道を誤ることの無いように。


きっとそれが、正しい結婚っていうものなんだろう。

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