実家に帰省して、久々に石神井公園を散策してそのまま帰宅する。
出かけにまで礼服買っときなさいよという母親はやはりどこかずれてる。次に会うときは病院か通夜のはずなんだが。
親父が年内に死ぬかもと告知されていたときから月一で介護辛い、親父の態度が優しくない、頑張ってるのにと俺を含めた兄弟にラインで泣いてた。
それが正月休みは積極的にその後の話と俺たちが子供の頃の過去話ばかりで、具体的な期日を過ぎて、ロスが言うところの死の受容段階にやっと受け入れたのか?と親のいない席でひそひそ話が出るほどの変わり身。
あの人の変心がやっぱりよく分からない。
石神井公園で、よくお祖父さん、お祖母さん、両親に子供の組み合わせをよく見た。
一番年配なのでお祖父さんと想像はつくものの、普段顔を合わせる上司とそう歳が変わらない若々しさだ。
髪が抜け落ちて頭にしわがよって生やしてなかった白髭を流す親父はまだ定年前なのにひいおじいちゃんだった。少し前までまだおじいちゃんだったのに。
和風総本家に出てきた家具職人さんより歳上に見えるって言ったら妹が同意したっけ。
まだ兄弟の誰も結婚していない。親父はおじいちゃんにはなれないまま、亡くなるのだろう。
最後に食べた雑煮は親父が作った。やはりおかんより旨い。親父に嫌われている俺と目を合わすことはなかったが、旨い、旨いと弟、妹と口を揃えて言った朝食で少し得意気な顔をした親父を見れて良かった。