専門家どころか業界関係者でもない奴らが適当言ってる記事が多すぎて見てられないから、とりあえず業界関係者の端くれとしての私見をまとめておく。
断っておくと、業界関係者ではあるので素人よりは知っているつもりだけど、PEZYを直接触ったとかいう立場ではない。
だから中の人やPEZYに直接携わっている関連組織の人ほどではないけど、古い考えに振り回されていたり、
全く見当違いなことを偉そうにほざいてる某とか某よりは全然詳しいはず。
論理的な反論・質問なら歓迎、政治的なことはわからんからそれはよそでやってくれ。
中の人や関係者のTwitterは監視しているつもりなので、反応次第では色々追記するかも。
Q1.
A1.
簡単に言えば、「NEDOのメモリプロジェクトで取ってきたお金を別のことに使った」ということ。
国プロで取ってきたお金は、本来はそのプロジェクトの範囲内でしか使ってはいけないのに、
それ以外のことに当ててしまった、いわゆる目的外使用というのが逮捕理由。
Q2.
A2.
過去にはもっと少ない額における研究費目的外使用での特捜案件もある、とは断言しておく。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG25045_V20C13A7CC1000/
これで終わりなのか、余罪があるのか、もっと大きな事件を追っているのかは分からないけど
Q3.
どうしてNEDO側は気付かなかったの?何をやってるの?
A3.
1つ言えることは、NEDOは過剰なくらいに監査が厳しいことで有名。
資産や人件費はもちろん、消耗品で購入したものも1つ1つチェックしていて、
「NEDOは(二度と)取らない」と言ってる研究者・企業は少なくない。
今回の事件は社長が経営する別企業への外注するという手段を使っていたようだけど、
発注先は適切であるか、納品物はちゃんと存在するのかをNEDOがチェックしないわけがない。
よほどやり方が巧妙だったのか、NEDOとしては問題ないという判断があったのか、
Q4.
A4.
今現在国内大メーカーでスパコンをやっているのは富士通とNECだけど、
富士通はPEZYグループのExaScalerと取引・出資実績があるし、
最近のNECは別路線に進んでいる。彼らがPEZYを潰しにかかる理由はない。
http://journal.jp.fujitsu.com/2016/08/15/01/
Q5.
A5.
それはない。量子コンピュータでできることと、PEZYができることは全く違う。
古典的(?)なスパコンが得意で、量子コンピュータには苦手なものというのはいくつもある。
そんな中で古典的なスパコンを全力で排除しにいくほど役人は馬鹿じゃない。
Q6.
A6.
Green 500はかなり信用ベースで運用されていて、厳密な審査が行われているわけではないから、
非常に高い技術力を持っていることで入社前から有名な人が何人もいるという事実があり、
私は彼らが嘘をついているとは思えない。
Q7.
結局PEZYのプロセッサって使えるの?Green 500/TOP 500専用プロセッサじゃないの?
A7.
PEZYには得意な処理、不得意な処理の差がはっきりとあって「汎用性が低い」というのは間違いではないけど、
「全く使い物にならない」は言い過ぎ。
実際にPEZYを使った脳のシミュレーションや、宇宙物理関係のシミュレーションが行われていて、
これらはPEZYの特徴に馴染んでいるからうまくいく。
Graph 500でやられているようなビックデータ解析みたいなPEZYが苦手とする分野もあるというのは事実で、
彼らもそのことを重々理解しているはず。
これはPEZYに積まれているメモリの性能があまりよくないからなんだけど、それを解決するというのが
加えて言うなら、プロセッサの計算性能と比べた時のメモリ性能が悪い、というのはPEZYだけじゃなくて最近のプロセッサ業界が直面している問題。
この問題はPEZY誕生以前から言われてて、中国のスパコンなんかはその問題を潔く諦めて他の手段をとることで、
メモリ性能が悪くてもGraph 500上位に食い込むことに成功している。
だからPEZYのプロセッサ技術の方向性は全くおかしな方向に向いているとは言えない。
とはいえ、個人的にはPEZYはマーケットを開拓できるのかが疑問なんだけど、まあそれは技術と分けて議論されるべきなので割愛。
そんなことより、なんで特捜は気づいたの? 誰かがリークしたのかな? 何のために? それが気になる。
オツムがわるいんだから、左翼叩き以外には手を出さないこと(笑)