自分は鼻が高いオッサンなので、立体型やらなんやらのマスクを買っても盛大に曇る。
今日みたいに寒く小雨がパラつく天気の時は最悪で、電車に乗ると勉三さんになってしまう。
「うー何も見えん」
と心の中で呟いていると、
「あの人眼鏡曇ってる」
「本当だーウケるー」
窓が曇ってもウケないのに。
うーんと考えていてふと思い出した。
眼鏡をかけていなかった学生時代に、自分も眼鏡を曇らせた友人を見て、
「ウケるー」
と言っていたことを。
その時自分が何故笑ったかはちゃんと覚えていて、曇らせた友人は先程出て来た勉三さんに似ていたからだった。
詰襟の学生服を着用し、レンズの分厚い牛乳ビンの底のような眼鏡をかけている。
初めは浪人生であったが、六浪の末に高尾大学経済学部に入学する。夏冬問わず詰襟の学生服を普段着としている。
出身は山形県で、純朴な性格。物語中盤頃から東北弁口調になる。キテレツをはじめとする子供たちには優しく、ちょっと頼りないお兄さん的存在。
こんな感じの人。
今は全く面白いと思わないけど、
6浪
ビン底眼鏡
東北の訛り
という極端な設定が小学生の頃は笑えたのだ。
これがきっかけで、
眼鏡曇る=勉三さん
という単純な式が出来上がった。
でも、今の若い娘達は勉三を知っているとも思えないので、誰をイメージしてウケると言ったのかが気になった朝の電車。