2020年の東京五輪への努力が水の泡となり、御年34歳なるの彼の目にはそんな光景が写っている。
「カタカタカタカタ……」
一日早くきれいになったアパートに押し込められた彼はこれが最後のレスとなるのも知らずに黙々と書き込んでいる。相も変わらず犬も食わない内容だ。
30代のお迎えの兵士には年齢以上の苦労が見て取れる。
彼は指で指示して、2人で部屋を出る。
あれだけ雑然としてた小物や衣類などは綺麗サッパリなくなって直人の背後にはもう何もなかった。外に出ると両親と姉が家族の仕事とばかりにお見送りに来た。
直人の声が聞こえているのか否か、兵士は無視してひたすら2人一組で歩いて行く。家族も空気を察して黙している。
横浜の自宅前を出発した車で高速道路を駆け抜け、羽田空港には北京行きの飛行機が到着し、2人が乗り込もうとする。
残りの家族はどうやら会社に残るようだ。直人はここで初めてだいたいの現実を知った。
そんな彼女たちを尻目に直人がさりげなく飛行機に乗り込もうとすると父親は
「おい」
と一言だけ息子に声をかける。
「何……」
「ほれ」
彼が振り返ったところで父親がグダポンに茶封筒を渡す。中を見るとギッシリと引換券が入っていた。
そう言うと直人の返す言葉も待たずに、北京に向けて空港のターミナルを後にした。
終わり
真面目な質問
本人は恐らく残業仕事で精一杯だし、囲いはネットにしがみついてる負け組だし、誰が本人のネットでの尻拭いをしていくんだろうか