2017-11-15

死んでしまった好きだった人の話

もし運命の恋とか、一生に一度の恋みたいなものが本当にあるとするなら、私の運命の恋はもう終わってしまったと思う。

この話をすると、年上の人は必ず「若いなあ」とか「何度恋したってそう思うよ」とか、そういう言葉をくれるし、私もなんだかんだ言ってそうなんだろうな、とも思う。しかし、それでもあんな大恋愛は二度とないんじゃないかとも思う。

付き合っていたのはたった1年程度だった。その前後も入れれば5年くらいにはなるけれど。今思えばそんなドラマチックな出来事もなかったかもしれない、何せもう随分前のことになるので、鮮烈だった記憶も薄れてきた。

それでも一生に一度の運命の恋であったと今も思う。私も彼も若かったから、余計そう思うのかもしれない。もしくは思い出としてひたすらに美化され続けていくからかもしれない。まさしく身も心も焦がすような、そんな思いをずっと抱いていた。

今は新しい恋人がいて、良好な関係を築けていて、とても幸せだしこの状態がなるべく長く続いてほしいと思う。当然とても大切で、愛しているといって差し支えないと思うのだが、あの彼ほど好きかといわれるとそうでないと思う。

ただ一つ言っておきたいのは、今の恋人が決して二番手になっているというわけではなく、ただ「歴代恋愛ランキング」で言ったら彼が1位だということだ。今の恋人のことは、今の時点で一番好きだ。かつての彼のことは今は割とどうでもいい。生きているのか死んでいるのか、それさえもあまり興味がない。

ただ、あのまだ20代差し掛かろうかという若さでもって、必死に全力で愛し合ったあの時の彼に注いでいた愛情が、私の人生における最大火力だったと思うだけだ。あの、私を守るように、それでいて暴力的なほどに愛してくれた彼のことは今でも好きだと思うが、その彼はもういまどこにもいない。いなくなってしまった。死んでしまったといって差し支えない。今生きている彼はほとんどもう別人のようになってしまったのだから

今の恋人にそれだけの熱量を注げるようになりたいとも思わない。あの熱こそがかつての彼と私を引き裂いてしまったと思うから。今の恋人には今の恋人にあった愛し方があるし、現時点でそれはきちんとできているように思うので、あの火力はもう私には必要ない。

もし、時をやり直せるのなら、私は彼とやり直したいと思わなくもないのだが、それでも結局彼は変わってしまっただろうし私とは道を違えるだろうから、それならそもそも出会わない方がいいなとも思う。これを人は未練だとか言うのだろう。

彼のことを断ち切りたくて、彼と出会った土地から上京して数年経った。たまに彼のことを思い出す。会いたいとも思う。だけどそれは私のことが好きだった彼であって、そんな人はもうどこにもいないのだ。然様なら大好きだったあなた

  • 彼女が殺されてしまったのでもう会えないです。 一生縛られて生きていくのも悪くないなと思いつつ、そろそろ次に踏み出したいとも思う

  • 諸行無常ですね

  • ステキな人とお幸せに。

  • ん?普通に「一生に一度の恋」はあると思うよ? あれ?

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん