業スーからの帰り。明日のお昼用に冷凍ミラノドリア2個入り320円を買った。
そんなことを考えながら自転車で家路を急いでいたら、パトカー数台に消防車が道路を封鎖していた。
あ、これは。事故だな。
救急車を避けるように更に左側に寄って踏切に近付く。ここを通らないと家に行けないのだが。
電車内の人達が雑談しているのが見えるくらい近くに行くと、踏切を通れず同じく足止めされている自転車に乗ったおばさん達がいた。
犬の散歩をしている人もいた。
「何かあったんですか?」
「それがねぇ」
聞かない。聞こえない。
「どれくらい動いてないんですか?」
「もうだいぶ…かれこれ20分は動いてないわねぇ」
猛暑の中、そんなに待ってるのか。自分はまっぴらごめんだ。ミラノドリアが溶けちまう。
踏切の横に逸れ、まるひろの先にあるもう一つの踏切を目指してペダルを漕ぐ。
ふいに民家から何故か線香の香りがした。それを胸いっぱいに吸い込んだ。
嫌な感じだ。
遠い三原という駅の近くにある踏切そばに小さな祠があり、どれだけ朝早くてもいつも線香に火が灯されていたのを思い出す。
一つ先の踏切は自由に通り抜け出来るようだった。駅からアナウンスが聞こえる。
『ただいま運転を見合わせております。お急ぎのお客様におかれましては大変ご迷惑をおかけしております。発車まで暫くお待ち下さい…』
こんなことが去年にもあった。
忘れもしない9月末日。帰省してクタクタだったのでレッドアローに乗った。
『19時前には帰るよ』
時刻は18時過ぎくらい。駅ビルで寄り道したって約束の時間には帰れる筈だった。
突然、足元に大量の缶を踏み潰したような衝撃があった。音も凄かった。
電車に乗ってるのに床を凝視したのは後にも先にもあの時だけだ。
少しして、レッドアローが止まった。
あ、これは。ただごとではないな。
車内がざわついてきた。アナウンスは、異物と衝突したので確認の為しばらく停車するといった内容だったと思う。
あとひと駅なのに、最後の最後で足止めを食らうとは。帰省の疲れもどっと出る。
背もたれに凭れて、旦那に電車が動かないので遅れるとLINEした。
窓を見ると外は真っ暗だ。時折駅員のような人達が行き来していた。この暗い中、見えるのだろうか?
辺りをキョロキョロ窺っていると、隣の席のおばさんがワクワクを隠しきれない様子で話しかけてきた。
「自転車よね、あの感じ」
ああ、自転車。なるほど、言われてみればそうだ。ならばやはりこれは、人身事故なのだろうと思った。
去年。前厄だった。
レッドアローは30分に一本走っているので、ひとつ見送っておけば遭遇しなくてもいい出来事だった。
なぜ、よりによって。
親に初めて人身事故に遭ったと言ったらネックレスをつけとけと言われた。現在、そういえば全くつけてない。
珊瑚の数珠はリュックにしのばせて肌身離さず持ち歩いているのだが。
今回もソシャゲの体力使いきるのに一時間かかり、買い物がその分遅れたのが原因のように思う。
また何かあったらここに書きなぐりに来る。