2017-07-09

アガルタの女とフェミニズム

FGO楽しいよねーっ!

というわけでこないだ1.5章アガルタの女をクリア感想やら考察やらを見てました。

するとフェミニスト界隈がわりとザワザワしてる。

なんでかなー?と思っていろいろ読んでみたら

「あの結論男根主義的。結局、『女は男が愛してやらなきゃな!』ってことでしょ?」

「女への偏見助長すると思う」

「結局セックスして子供作れなきゃダメってことじゃん」

との意見がおおかった。

言いたくなる彼女らの気持ちもわからないではないけど、フェミ女の私から見て、アガルタの女は「男女の問題」にかなり深く切り込んでいる点で良作だと思ってるので、

ライターさんすごくがんばったなぁという思いをこめて、見解ちょっと書いてみようと思う。

以下ネタバレ有り

◼︎アガルタの女のテーマは、「これから男性フェミニズム女性とどう向き合っていくべきなのか?」

今回の舞台は「強い女に男が虐げられている」という世界

この設定をどうとらえるかによって、アガルタ見方はかなりかわってくると思う。

男女平等の考えが広まってきている今の世の中、女性はかなり自由活動できるようになっている。(社会参画とかの面においてはまだまだだし、他国になるとさら権利は少ないけど)

一方、女性自由発言が増えたことによって肩身がせまいと感じる男性は少なからずいるよなー、と自分は思っている。

「女は男に従え!」的発想の人の動きが抑えられるのはいいけれど、そうではない男性まで窮屈な思いをしているんじゃないかな、と。

特にFGOプレイヤーである10〜30代の男性たちは、家庭内などで「女のほうが強い場面」を生まれた時から見ているし、大半は生まれた時から女性大事にしようね」とも教わってもいるので

女性男性搾取されている!」とか言われてもなかなかピンとこなさそう。

フェミニズムを前にした時、「女性より男性のほうが肉体的にも社会的に有利とか言ってるけど、だからってそう男叩きしなくても……」と戸惑いを覚える人のほうが多いのではないだろうか。

結果、「フェミニストって自分たち権利ばかり主張する自分勝手な女集団」と思ってる人も少なくない気がする。(本当はそうじゃないんだけどね)

そんな考えを念頭においてアガルタ世界を見ると、なるほどと思えるところがどんどん増える。

◼︎異性をものあつかいするということ

主人公一行は女の治める三つの国を巡ることになる。この国々を簡単にまとめると

 ダユーの国:異性を、快楽をあたえてくれるものとして消費する

 武則天の国:異性の欲望否定し罰する

 ペンテシレイアの国:異性を子供を産むための道具として扱う

お察しのように、これは「歴史上で、男が女にしてきたこと」だ。

さらに一歩踏み込むと、「これから、女が男にしていくだろうこと」でもある。

最近じゃ女性から男性へのセクハラもあるし、ホストやチンパブなどで性的男性消費もできる。

一方で「男性性欲は存在害悪のもの!」と声高に叫ぶ人もいる。

さらに、子供生活費のために旦那を欲しがる人だっている。

この三つの国は、男性にも女性にも警告をしているように見える。

「異なる性を追い詰めていないか?」と。

今回「追い詰められた者であり、追い詰めている者」が不夜城キャスター・シェヘラザードだ。

かつて男(であり服従を求める王)から攻撃され、それによる死を恐れるあまり必要以上に男を攻撃している。

◼︎フェルグス→無垢少年が、「被害者であり加害者でもある」女性をどう受け止めていくのか

アガルタキーマンとなるのは、本編で男性性欲の塊のように扱われているフェルグスだ。

フェミニストからしてみれば、女性性的嗜好品としてみているような彼が好かれることは少ない。(私は大好き!!!

今回あらわれた幼いころの物腰柔らかなフェルグスは、自ら剣を手にするような「強い女性」に対してどう出ればいいのかよくわからないでいる。

この少年フェルグスは、いわゆる「フェミニズムをかさに着て攻撃的な態度をとる女性を扱いかねる男性」そのものだ。

彼は旅の中で二つの疑問にであう。

・王として、民を幸せにする国を作るにはどうすればいいのか?

個人として、死を恐れるシェヘラザードの苦しみを癒すにはどうすればいいのか?

これに対する結論の詳細はプレイした人はもう読んでいると思うので省くとして、

コロンブスのように女どころか男までもモノあつかいするのではなく、かといって一方的暴力に対する従順奴隷となるのでもなく、ただ目の前の人間と向き合うことが必要だとフェルグスは学び、死ばかりを見つめるシェヘラザードを救うことに成功する。

加えて「異性によって傷を負った人を男性性(女性性)が導き、対等に向き合うことを可能とする」ことも伝えてます

簡単に言えば、「キモい死ね」と異性に言われ呪われたら、やっぱり異性に「そんなことない」と言われることこそ呪いの解除にもなるってことかな。

性的であることは決して悪いことじゃなくて、なにより性の差異があるからこそ産まれものがあるという結論が、すごく心地よかったなあ。

(「男女がいれば子供が産まれる!」とフェルグスは言ったけれど、あれは何も子供に限ったことではなくて、「異なるものが交わる時今までなかったものが産まれる」って意味だとも思うのです。)

最後、彼の武器カラドボルグが大地を割って人々は救われるわけだけれど、カラドボルグは漢字で書くと『虹霓剣』つまり虹の剣。

LGBTを指すレインボーとかけていると考えると、「男女にかぎらず全ての性が力を合わせることで全ての命が救われる」というメッセージにも読み取れて、なかなか深い話になっている!

似た展開が繰り返されたりとか、男女どちらでもある主人公の動かしかたとか、気になる点もあったけれど、「全ての人間性別関係くそ歴史差異を認めて前に進もう」という願いがこもったとてもいい物語だなーとフェミ的に思いました。

ライターさんお疲れ様でした。私はとっても好きです!!

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