私が力を入れた活動は自炊です。私は、大学院生として自活した生活を始めてから3年半もの間、自炊を継続しています。私は、自炊を通じて、与えられた課題に対して、さまざまな制約があるなかで、相違工夫を凝らすことで課題解決をすることを学びました。
大学院の修士課程に入学した私は、博士課程へ進学する意思のある学生を、修士・博士課程の5年間、一貫して支援するためのプログラムに応募し、採用されました。修士課程に入った後は、自立した生活を送りたいと考えていた私は、月20万円の奨励金を利用し、親元を離れ一人暮らしを開始しました。一人暮らしの開始当初から、自炊を行い、美味しく栄養バランスのとれた食事を摂ることで健康を維持し、また食費を節約して、学費などを全て自分で賄うことを目指していました。
自炊を継続するにあたり、アパートのガスコンロが一口であるというリソースの制限、食費の予算は月に1万5千円という金銭的制限、生活の大部分を研究に割かなければならないという時間的制限、という3つの制限が存在しています。食材の調達、予算・出費の管理、献立の決定や実際の調理などは、当然全て自分自身で行います。したがって、美味しく、栄養バランスのとれた食事に満ちた生活を自活しながら送るために、私にできることは、リソース・金銭・時間、3つの制約を創意工夫で乗り越えることでした。
まず私が着目したのは、時間的制限でした。この制限は、毎日料理をするのではなく、週末に作り置きをして、平日の間は研究室の電子レンジや冷蔵庫を活用することで改善されることがわかりました。また作り置きは、大量の料理を一度に作ることになるため、調理の順序を工夫することで、一口しかないのガスコンロの性能を無駄なく発揮することができます。週末作り置きによってリソースの制限も改善することができました。最後の制限である金銭的制限は、調味料の買い置き、週末のまとめ買いや、季節による野菜価格の変動を学ぶことで改善されました。
一方で、あまりにも様々な制限を意識するあまり、食材費の過度な削減や、料理時間のいきすぎた短縮をしてしまうこともありました。それによって、完成された料理の味が満足のいく水準を達成できず、本来の目的の1つである健康維持に支障をきたしてしまいました。食生活の乱れによって健康を損なったときに、自分が満足できる料理の味の水準や、バランスのとれた栄養を摂るために必要な食材を見直し、いき過ぎた制限を抑制することができました。私は、継続した自炊を通じて、制約がある中でも、与えられた課題に対し、求められてる水準を明確にした上で、創意工夫をこらして課題を達成することを学びました。