2017-06-24

零細にやたら高スペック新人が入ってきた。

賃金は安いし、ノーといえない下請け仕事も多く、採算度外視で全力を注ぐ羽目になる業務さしこまれ

ひどい残業

ビジョン現場と上とが食い違っていて、どこに向かっていいのかわからないまま

みな目先の仕事で手一杯。

だれも経営してない、いつまで体力がもつかわからないっていう、

零細そのままの会社である

そんななか、やったら高いスペック新人が入って来た。

スペックの詳細は隠すけど、仮にAと呼ぶ。

こんな零細にそんな人、なんでこんな会社に応募してくんのか、

その時点でまずなにかおかしいなと思うべきなのだが、

それを見抜く力のない社長は、

やたら高スペックのAをチャンス、とでも思ったのだろう。

Aを丁重に迎え、始めはパートの応募のはずだったのに

いきなり正社員入社してもらう、ということになった。

パート社員が大半を占める現場なので、異例のことであった。

Aはきりっとした様子で、晴れて入社日にやってきた。

零細に突如あらわれた高スペックのAを、みんながまぶしく思った。

なにより人当たりがよく、入ってすぐ古株の社員と打ち解けた。

社長以外の社員も、Aを気に入っているようだった。

Aは慣れないながらも、一つひとつ

与えられた仕事を着実にこなしていたように思う。

ほかの社員がなにか仕事を頼んでも、愛想良く引き受け、

少しクオリティは甘いかもしれないが頼んだ方も気持ちがよくなる、そんなタイプだった。

そんな彼が、あることをきっかけに、

突如、会社に来なくなった。

始めは、「貧血気味で…」という理由だった。

そういう日が何日か続いた。

それで、ついに無断欠勤となり、上司は騒ぎだした。

電話をしても、つながらない。

何回かけても、かかってこない。

しばらくつながらない状態だったが、

ある日、Aから連絡が来た。

「体調が悪くて、出社できず申し訳ない。なんとか生きている」、といった内容だったようだ。

いったい全体、どんな体調なのか…

ちいさな会社だ、みな心配になった。

なかに心配業務がすこしおろそかになった社員もいた。

Aは一人暮らしなので、家で倒れているといかん、

様子を見に家に行こう、という案が出た。

しかしまた間髪を入れぬタイミングで、

「母が来て、病院に連れていってくれたので、大丈夫です。」

という連絡が来た。

なんだ、よかった、と上司はほっとした。

……

そこからどうなったかというと、彼は、もともとある病気を抱えていたとのことで、

今も休養中だ。

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