人に「何か面白い話をして」と求められた。
これがまるで思い浮かばない。自分が考え込み、何も言えなくなる様を見て、その人は自分に幻滅する。当然だ。目の前にいる男がどれだけ退屈な人間であるか、それが露呈する瞬間を目の当たりにしているのだ。
ここまでストレートに要求されることは少ないにしても、この世の中「面白い話」が必要な場面は多い。そのたび、自分は何を語ることもできず、己のつまらなさに心底がっかりすることを繰り返してきた。
みんな、普段の生活からどうやってたくさんの「面白いこと」を見つけ出しているんだ?
自分の周りの世界に対する感度の低さは自覚している。自分が気づけていないだけで、世の中には、日々の暮らしの中には、「面白いこと」があふれているのだろう。
その感度を高めるために、自分は何をしたらいいのだろう。