先日のNHKの特集はみていないのですが、ツイッターで流れてきたこちらのツイート
とりあえず、改めて思ったけど発達障害者に必要なのはセルフモニタリングと言語化ですね。自分が何が得意で何が苦手でどのような状況下で良いパフォーマンスを出せ、あるいはその逆なのか。徹底した自己客観視と言語化抜きにしては、助けを求めることすらできない。— 借金玉 (@syakkin_dama) 2017年5月21日
借金玉さん、有名な方ですね。
私は多分定型だと思いますが、この方のブログは参考になるので好きです。
このツイートを見て、まさにそうだよなあと思ったので、体験談を少し書いてみます。
その人がカミングアウトしたわけではなく、というかその人自身に自覚があったかも怪しい(多分なかったと思う)のですが、
その人と組んで約三年間仕事をした私は、彼女は発達障害だったんじゃないかなと思います。
・仕事の優先順位が立てられない。どうやっても立てられない。何度言ってもできない。目の前にある仕事からやってしまう。
・極端に走る。少なめ、とか、多め、とかが理解できない。少なめと指示を受けたらゼロになり、多めといわれたら100になる。
・上の派生で、可能性の話が通じない。「おそらく~だろう」といわれると、Aさんの中では『決定事項』に変わってしまう。
・一つ一つの仕事は非常に丁寧だが、どれほど客が並んでいても同じペースで行う。状況に応じての効率化ができない。
・一から十まで話さなくては伝わらない。省略は非常に危険で、まず正しく伝わらない。
あとこれは、発達障害というより、彼女がうつ病を患っている(これは本人が話した)ことから来ていたのかなと思うのですが、
・非常に頑固である。こちらが理屈立てて説明しても、まったく受け付けない。本人の中の妄想が最優先される。
『臨機応変に動くことが不可能である』『情報(上司からの指示など)を脳内で誤変換する』という合わせ技の上に、頑固さが加わると
まさに地獄です。
ものすごく自信満々に間違った指示を私に伝えてきて、それはおかしくないでしょうか…?と尋ねても、一切聞く耳を持ちません。
ちなみに私のほうが後輩で、彼女が先輩であったので、なおのこと大変でした。
なぜなら入社して一か月のとき、私が些細なミスをしたら、その件で彼女に五時間叱責されたからです。
障害のあるなしに関係なく人を苛めることができるという例ですね。
それでも仕事のできる人ならば、いずれ尊敬の念も沸いたでしょうが、実際には上記のとおりでした。
私は彼女の誤変換に悩まされ、振り回され、また彼女がマイペースに仕事をし続ける分、必死にフォローしなくてはなりませんでした。
ここからが本題なんですが、
どうして『極端に走る』のか、
本当にわからなかったわけです。
最初は、彼女には、この職種の経験がないからだろうと思いました。
優先順位を立てるという仕事の仕方をしてこなかったのだろうと思いました。
彼女は三十代後半で、私よりも年上で、『やってできないはずがない』と思っていました。
そうではないのだと思い知るまで、二年近くかかった気がします。
私は彼女と組んで仕事をしていましたが、私のメイン業務は入力や処理であり、彼女はカウンター担当でした。
私は業務上、プリントアウトすることが非常に多く、プリンターは彼女のそばにありました。
私が印刷をかけるたびに、彼女は出力された紙を、私のところまで持ってきました。
私は何度も彼女に言いました。
持ってこなくていい。自分で取りに行きますから。目の前のお客様を優先してください。
そういうと、三日ほどは、彼女は紙を持ってこなくなりますが、四日目にはまた同じことの繰り返しです。
彼女が待たせているお客様のフォローを、私がしなくてはならないんですから。
紙なんか持ってこなくていいからお客様対応を最優先してやってくれ!と思うのですが、
紙が出てくると、ダメなようでした。意識がそちらに向いてしまうのでしょう。
紙を持ってこなくていい、というのを、七回目くらいで、諦めた記憶があります。
私はそうやって、ストレスに苛まれながら(彼女も同じようにストレスだったでしょうが)
一つ一つ、彼女への対応の仕方を学んでいきました。いやおうなしに。
最終的に、私は、
・ある程度は、彼女に沿った対応をする(なるべく数字で区切って話すとか、一から十まで話すとか)
・八割方は諦める。
・自分の身を守ることを優先し、彼女の仕事が溜まろうともなるべく視界に入れない。
という境地に達しました。
できることを期待するから苛々するのであり、できない人なのだと認識してしまえば(まあそれでもイライラしますが)
少しはましになります。
ここで一番最初の借金玉さんのツイートに戻りますが、何ができて何ができないか、というのを伝えてくれるのは、
私は約二年間、ストレスと、いったいなぜできないんだ!?という思いと、どうアドバイスすればできるようになってくれるかという悩みに、
神経をすり減らしましたが、
彼女が最初から、(発達障害だというカミングアウトは別になくても良いので)、
自分はこういったことが苦手であり、こういったことは努力してるけど本当にできなくて、
こういった風に伝えてくれると助かる、という話をしてくれたら、
私もすごく助かったし、
あれほど彼女を嫌いになることもなかっただろうな、と思います。