名前は「ライト・クイズ」といって、番組内で行われるゲームからとられている。
そして今回、その放送場所に俺たちの住んでいる町が選ばれたのだ。
この番組はロケ地に住む一般人がゲームに参加するタイプで、リーグ戦を勝ち抜いて優勝すれば10万の賞金がもらえる。
狙わない手はないよな。
「さあ、今週も始まりました。第5回、『ライト・クイズ』選手権! 今回の選手たちはこちら!」
だが、ここは放送の際に毎回カットされるか、ちょろっと流される程度。
つまり身内の間で盛り上がるため、ささやかな自己顕示欲を満たすためだけの、テレビ側からすれば実質的に無駄な時間だ。
「兄貴~! 俺の分まで勝ってくれ~!」
どうやら弟も応募していたようだが、年齢制限のせいでハジかれたらしい。
やりにくい相手が減って、俺は内心ホッとしていた。
このルール説明だが、選手たちには事前の打ち合わせで説明がされており、その時に細かい部分での決まり含めて入念に行う。
構成上必要なこととはいえ、俺たち出場選手にとっては手持ち無沙汰な時間でもある。
「バトルは1対1。
先攻、後攻をランダムに決め、交互に問題の出題側と解答側を入れ替えて戦います。
出題者の問題に対し、解答者は出来る限り早く答えましょう。
解答に要した時間によって持ち点が減り、もし制限時間内に答えられなかったり間違った場合は大きく減るので注意してください。
これは審査員と観客の投票で決まり、それによって持ち点は更に減ります。
そうして続けていき、先に持ち点がなくなった方が負けです」
要は解答者のときは早く答えて、出題者のときは簡単な問題を出せばいいということだ。
解答だけではなく、問題の内容すら一般参加の人間にやらせるっていうのが、ローカル番組ならではの工夫を感じられるな。
「では第1回戦、開始! 先攻はオサカさん、後攻はマスダさんです」
≪ 前 さて、俺が参加した理由はもう一つあり、それは勝算の高さだ。 この『ライト・クイズ』という番組、始まってから間もないことや所詮ローカル番組ということもあって、出場選...
≪ 前 2回戦。 相手はクラスメートのタイナイであった。 またも知り合いで、この番組の規模の小ささに他人事ながら不安になる。 「マスダ、生憎だが僕には勝てないよ。このゲーム...
≪ 前 「それでは後攻、マスダさん。問題をどうぞ」 またも敵の自滅で大きくリードできてしまった。 せっかくだから、ちょっと遊んでやろう。 あらかじめ出そうと思っていたもの...
≪ 前 はいよいよ決勝戦。 そして最後の相手は、またも俺にとって知っている人物でありながら、未知数の相手でもあった。 「やあ、マスダ」 「……センセイ。どうも」 センセイは...
≪ 前 それに対し、センセイはこの土壇場でも落ち着いた物腰で、坦々と問題を口にした。 だが、その出題に俺は自分の耳を疑った。 「答えは350です」 いや、出題というよりは、正...