2017-05-22

[] #25-1「ライトクイズ

俺たちの地元には、最近人気のローカル番組がある。

名前は「ライトクイズ」といって、番組内で行われるゲームからとられている。

そして今回、その放送場所に俺たちの住んでいる町が選ばれたのだ。

この番組ロケ地に住む一般人ゲームに参加するタイプで、リーグ戦を勝ち抜いて優勝すれば10万の賞金がもらえる。

値段の絶妙さに、ローカル番組の苦悩が窺えるな。

とはいえからすれば、バイト給料およそ1か月分。

狙わない手はないよな。

「さあ、今週も始まりました。第5回、『ライトクイズ選手権! 今回の選手たちはこちら!」

俺を含めた選手の入場、紹介が粛々と進む。

だが、ここは放送の際に毎回カットされるか、ちょろっと流される程度。

まり身内の間で盛り上がるため、ささやか自己顕示欲を満たすためだけの、テレビからすれば実質的無駄時間だ。

そして賞金目当ての俺にとっても煩わしいだけの時間である

兄貴~! 俺の分まで勝ってくれ~!」

家族応援に来ているなら尚更だ。

どうやら弟も応募していたようだが、年齢制限のせいでハジかれたらしい。

やりにくい相手が減って、俺は内心ホッとしていた。


「では、『ライトクイズ』のルールをこれから説明します」

このルール説明だが、選手たちには事前の打ち合わせで説明がされており、その時に細かい部分での決まり含めて入念に行う。

構成必要なこととはいえ、俺たち出場選手にとっては手持ち無沙汰な時間でもある。

「バトルは1対1。

先攻、後攻をランダムに決め、交互に問題の出題側と解答側を入れ替えて戦います

出題者の問題に対し、解答者は出来る限り早く答えましょう。

解答に要した時間によって持ち点が減り、もし制限時間内に答えられなかったり間違った場合は大きく減るので注意してください。

そして減点要素はもう一つあり、それが問題の『簡単度』です。

これは審査員と観客の投票で決まり、それによって持ち点は更に減ります

そうして続けていき、先に持ち点がなくなった方が負けです」

要は解答者のときは早く答えて、出題者のとき簡単問題を出せばいいということだ。

解答だけではなく、問題の内容すら一般参加人間やらせるっていうのが、ローカル番組ならではの工夫を感じられるな。

「では第1回戦、開始! 先攻はオサカさん、後攻はマスダさんです」

かったるい説明時間が終わり、いよいよ“本番”だ。

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