ゴールデン・ウィーク目前の新宿御苑は、ソメイヨシノが終われば八重桜が見頃だ。
芝生には家族連れがブルーシートを広げ、外国人のカップル舞う花びらの下を歩き、奥様達は携帯のカメラを構える。
どの顔も笑顔だ。
それを見て、一緒に歩く人が自分にもいればさぞ楽しかろうと思うが、一人見上げても楽しめるほどに、鞠のように固まって咲き誇る八重桜は良いものである。
気持ち良いそよ風に吹かれながら歩くと、「人に尽くす」ということについて考える。
なんの意味が?
ここ数年新卒くん、新卒ちゃん達の数人が早期退社した反省だろうか?
違うんじゃないか?
自分の仕事の片手間にやるんじゃなく、彼ら本気で強い仲間として迎えるために。
実務で鍛えるために向き合えば、それは疲れようが、それは本気で向き合い、彼らのために汗をかくということ。
人は尽くした分しか感じてくれない。
それをどこぞの業者に頼んで、造り付けの新人研修など、楽をして人と絆が結べるものか。
今度、飲み会でこれに許可を出したやつにチクリと言ってやろう。 いつから俺たちは、そんな大企業様みたいな真似するようになっちまったのさ、会社がちょっと大きくなって勘違いしてない?
桜吹雪の下、砂利を踏みしめて歩いていると、幼い2人の男児が駆け抜けていった。
「だ〜る〜ま〜さんが、ゲットだぜ!」